第17話 創造神幹部の実力
前回のあらすじ!
森を歩く3人の前に突如現れたのは、自身を”創造神幹部”と名乗る謎の男、シオン。
彼の射撃能力の高さに驚愕する3人だったが、オーゴは果敢にもシオンに『剣投背中斬』を試すことに。
そして見事シオンの虚を突き、彼の背後に回り込めたオーゴ。あとはその背中に剣を振り下ろしだけだが、果たして...?
「背後、取ったりっ」
僕の目の前に、シオンの無防備な背中が現れる。彼はまだ僕の掌力を知らないし、対応なんてできなくて当たり前だが、正直ここまで上手くいくとは思っていなかった。あとはこの手で決着をつけるだけだ。
僕は勢いよく、シオンの背中に向かって剣を振り上げる。
その刹那...
「 なんてね」
シオンと、目が合った。虚をついて、彼の背後を取ったハズなのに。
その予想外の出来事に、体が固まって動かない。
シオンの腕と脇の間から、何か黒光りした物が見える。それは、こちらに首をもたげた銃口であった。
(予測されていた...!?でも、一体どうして...)
__パァンッ!!
至近距離で銃声が鳴り響いた。今度は石では無く、僕に向かって。
「オーゴ!!」
少し遠くから、僕の名前を叫ぶのクレマの声が聞こえた。
僕は......死んでいなかった。
しかし、瞬間的に右手に激痛が走る。
「クッ...!」
僕は入替を使い、初めに隠れた倒木の影へと戻った。
刺すように痛む右腕を見ると、肘の少し下から生暖かい血がダラダラと垂れていた。
...しかし、ここまで綺麗に予測されるのはおかしい。僕の掌力は、ヤツからしたら初見のはずだ。
「変な演技しててゴメンね~。けど、君が『入替』の力を持っていることはリサーチ済みなんだ」
僕の疑問を読んだかのように、シオンが呑気に喋った。
僕達の情報が、もう創造神側に漏れているという事か...?けど、シモの爆破の掌力を見た時のリアクションは、初見のそれだった。という事は、知られているのは僕だけ?
...いや、今はそんなことどうでもいい。
とにかく、入替を知られてたのなら、今生きてるだけでもラッキーだろう。今から作戦を立て直して...
「ケドさぁ、君たちホント素人だよね。...ホラ、今だって」
唐突に、シオンが退屈そうに口を開けた。そう言い終えると同時、彼は両手に持った拳銃の銃口を、それぞれシモとクレマの方へと向けた。
「マズイ...!」
身を隠していなかった2人は、銃口から射線を切ることができない...!
__バンッ バンッ!!
二発の銃声が森に響き渡る。
「...ッ!!クレマ!シモ!」
僕は無我夢中で近くにあった石や草に触れた。
そしてそれをクレマとシモへと入れ替える。
「二人共!死んでない!?」
僕はすぐに2人の顔を見た。
「チッ...!なんとかな。足を撃たれただけだ、このくらいウチの巻戻で治せる...。お前ら、撃たれた所をウチに見せろ...!」
「拳銃って撃たれると痛いんだね~。けど何で頭狙わなかったんだろ。外したのかな?」
クレマは少しイラついたように、シモは相も変わらず楽しそうに口を開く。
「二人共、よかった...!」
僕は思わず熱くなった目頭を押さえた。
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今のところ、何故かシオンは追い打ちをかけてくる気配がない。だから僕たちは奴から少し距離のある倒木の裏に隠れ、クレマの巻戻治療を受けている。
それにしても、シオンと名乗るあの男、一体...
「おーい、君たち!今はその倒木の影に隠れてていいから、耳だけ貸してくれ!!」
少し離れたところから、声を張っている奴の声が聞こえてきた。こんな状況で話しかけるなんて、一体何を考えているんだ...?
「君たちは本来、この数分間で何回殺されていたと思う?ワタシは今日、君たちを殺すつもりはなかったんだよ。...けどね、このまま期待外れのままなら、次は本気で心臓を狙うよ~?」
シオンは相変わらず陽気な口調で話しているが、その内容が笑えない。
クレマが舌打ちをして、険しい表情を浮かべた
「チッ...!やっぱりわざと致命傷を避けて撃ってたのかよ」
「頼むから失望させないでくれ!もっと楽しませてくれ!!」
奴はこの状況を、まるで暇つぶしのゲームかのように言い放つ。
しかし、こんなところで敗北していたら、念願の黒髪乙女と出会うこともできない...
「クソッ、こんな所で!一体どうすれば...」
思わず地面を叩く。その横で、シモはのんきに雲を眺めている。
「アイツつよいよ~?オーゴの掌力は読まれたし、シモの爆破も避けるか防がれるし。...本当に3人共ここで死ぬかもね~」
シモはまるで他人事かのように零す。
「死んでたまるか!こんな所で死んでいたら、創造神なんて(黒髪乙女も)、夢のまた夢だ!」
しかし実際、奴を倒す手段が思いつかないのも事実だ。
あの40代位の外見と不釣り合いな運動神経、そして圧倒的な射撃能力と動体視力。アレを突破できる策はあるのか__
「ある」
僕の右耳が、その2文字を捉えた。
その2文字を呟いたのは紛れもない、クレマだった。
「あるって、何が?」
思わず身を乗り出して、縋る様にクレマの答えを待った。
「あいつを倒す方法は、ある」
彼女はそう言い切ると、自身のサングラスをおでこにかけ、僕とシモを交互に見つめた。その表情からは焦りが消えていて、いつものように気怠そうで、面倒くさそうで、そして冷静そのものだった。
「耳の穴かっぽじれ。今から作戦を伝える」
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