第16話 必殺!『剣投背中斬』!!
前回のあらすじ!
創造神討伐遠征に出かけたオーゴ、クレマ、シモの3人。
その道中、森を通過しようとした一行は、二丁拳銃を携えた謎の男と遭遇する。
その男は、自分のことを「創造神の幹部」と言い出して...!?
国歴248年 悪王討伐遠征3日目
「『創造神の幹部』ってとこかな!ハハ!」
シオンと名乗る男は、その言葉の意味とかけ離れた表情で笑った。
「ど、どういう事だ?創造神の手下は、悪獣じゃないのか...?生身の人間が、創造神の__」
「知るかよ!そんな疑問はあとだ!どっちにしろコイツはたった今、ウチらの敵になったぜ...!」
あまりに想定外だった答えを前に、僕とクレマがアクションを起こせずにいた中、一番最初に行動を起こしたのはやはりシモだった。
「よし!じゃあ攻撃していいよねー!?」
シモはそう言い終えるや否や、さっき僕が指示して持たせておいた石を投げつけた。そう、シモの「爆破」の掌力を使用した、石を。
その石は、弧を描いてシオンの元へ近づく。
「Hmm...石の投擲か。まず何かしらの力が込められていると見て間違いないね」
シオンはそう呟くと、その年齢からは考えられないような機敏な動きでバックステップをし、投げられた石から距離を取った。
そして案の定、シモの投げた石はシオンの手前で地面と衝突し、小さく起爆した。既に後ろに避けていたシオンには、爆風が届かない。
「ほう!爆破の力か!シンプルだけどパワフルだね!今度創造神に報告しておくとしよう!」
「おおー!この間戦ったジンマ?って人より戦えるね!」
シモは戦闘中に一番楽しそうな顔をする。その理由は、コイツがただ戦闘狂なだけか、それとも前に言っていた、『殺されたい』という目標の為か、分からない。
それでも、シモは相手が強ければ強い程、出し惜しみなく、貪欲に勝とうとする。だから僕たちは、彼に背中を預けられるのだ。
いまの先制攻撃を避けられたシモは、さらに追撃をしようと既に動き出していた。
「でもさ!避けてるだけじゃ勝てないよ!!」
シモはそう言うと、今度は3つの石をシオンに向けて投げた。その3つの石は、ばらけながらもシオンの元へと降り注ごうとしている。
その時だった。
シオンが両手で銃を構えたのは。
「バババァァンッ!!!」
立て続けに3つのけたたましい銃声が、森に響いた。
それは目にもとまらぬ速さで繰り出された、一瞬の出来事だった。シオンの数メートル手前に、打ち砕かれた石が砂利の様になってパラパラと降り注ぐ。
「嘘だろ...!?あの一瞬で、正確に3つの石を撃ちぬいたのか!?」
クレマがサングラス越しに目を見開いて驚いているのが分かる。そして銃を扱ったことのない僕でも、それが恐ろしい程に卓越した技術なのだと理解できた。
「今度は20個くらい投げるべきだね~。ま、そうしたら避けるけどさ!はっはっは」
シオンはまだまだ余裕の表情で大笑いしている。
コイツは、間違いなく強い。...だが、僕の新技を試すにはちょうどいい相手かもしれない。
「あーあ。石が粉々になっちゃったら起爆できないじゃーん。...って、あれ?次はオーゴが攻撃するの?」
シモは残念そうにため息をついていたが、僕が鞘から剣を抜いたことに気づいたようだ。そろそろ僕もカッコいい所を見せておかないとな。
「...シモ、このあいだ言った、『ズガーーン!!』ってやつを見せてあげるよ」
「え、本当!?やったー!」
シモは嬉しそうに目を輝かせて僕を見る。
しかし、横に居たクレマは隠そうともしないで怪訝そうな表情を浮かべた。
「いや、あれはデタラメだろ...?」
たしかに、あの時は記憶を失ったシモを納得させるために言った低レベルな嘘だった。...しかし!今回僕が開発した必殺技を繰り出せば、シモを満足させることはできるであろう。
僕は膝を曲げ中腰になり、かつてジンマから教わった『居合』の体勢を取って、剣を腰の横に構える。
後は呼吸を集中させて、斬る対象に狙いを定めるだけだ。
「シモ、クレマ、見てろ。これが僕の新必殺技!『剣投背中斬』だァ!」
「いや、ダサ」
僕は腰をひねって遠心力を生み出し、剣をブーメランのようにシオンに向けて思いっきり投げつけた。
「ヘイ!その構えしといて投げるのかよ!」
シオンは僕にツッコミながらも、その半身を逸らし、いとも簡単に剣を避けて見せた。
...しかし、『剣投背中斬』の真骨頂は、これからである。
僕は今のうちに近くの雑草を引きちぎり、手の中に握りしめておく。
そして...
「剣なんか投げても何にも...って、アレ?いない」
飛んできた剣を避けたシオンが、僕の居た方へ向き直る。
けれども、もうそこに僕の姿はない。
じゃあ僕はどこにいるかって?
僕はさっき避けられた剣と自分自身を対象に『入替』を使い、剣と自分の位置を入れ替えていた。つまり、シオンの背後を取っていたのだ。
さらに、さっき千切って手の平に持っていた草を、もう一度剣と入れ替える。
相手に剣を投げるだけの技だと思い込ませ、そこから入替で背後を取り、死角から斬るのがこの必殺技の真髄である!
(決まった...!)
「背後、取ったりっ」
そして僕は勢いよく、無防備なシオンの背中に向かって剣を振り上げた。
続くッ!!
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