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手の平の『創造物』たち  作者: 今木照
創造神を殺す旅
28/40

第11話 悪の獣

国歴248年 創造神討伐遠征1日目



 自己紹介から3時間程経った。

 国を発ったのはおよそ4時間程前。


 目線を落とした太陽のせいで、辺りの木々はダラダラと長い影を伸ばし始めている。僕はなんとかシモが男だったという事実にも慣れてきた頃だ。


 そういえば、放置してきたジンマは無事発見されただろうか?

 ...まぁ彼は丈夫だし、きっと何とかなっているだろう。


 それよりも、徒歩の旅はこんなにも体力を奪うものなのかと少し驚いている。

 僕は1時間程前から感じている膝の痛みを意識の外にもっていき、クレマとシモにしがみ付くように歩いていた。

 しかし、肝心の彼女達はいまだ顔色一つ変えず、歩くスピードは十年一日の如く均一を保っているのだ。同じ人間なのにも関わらずどこでこんな差ができてしまったのだろうと考えざるを得ない。

 あ、僕温室育ちだった。


 太陽が顎を地平線にのせ、本格的に夜へのカウントダウンが始まる時間になった。

 そこで、流石に足の悲鳴を無視できなくなった僕は二人に提案する。


「はぁはぁ、二人共、疲れてないの?ここらで今日は野営しない?ふー......予定よりはちょっと遅れてるけど、それでも全然大丈夫なペースだし......」


 僕は弱気60%、冷静さ25%、怠惰15%配合の素晴らしい提案をした。

 前を歩いていたクレマが僕の言葉に反応する。


「そーだな。夜歩いててもロクな事ねぇだろうし、ここいらでテント張るか」


 そう言ってクレマは後ろを振り返り、シモと、更にその後ろを歩いている僕を見る。...その時、彼女の表情が何やら怪訝そうに曇り、目を細めて僕の更に後方を見つめた。

 次の瞬間、クレマは驚いたように目を見開く。


「...........あれは!」


 彼女はすぐに大声を上げた。


「オーゴ!シモ!後ろ!!!」


 突然の彼女の大声に多少の驚きを隠せず、反射的に後ろを振り返ろうとした。


 その時だった。


ザシュッッ!!


「痛っ...!」


 左腕を強く弾かれたような衝撃が走り、直後に鋭い痛みを感じる。

 姿勢を崩す僕の視界の隅を、黒い塊と光を反射する鉤爪のようなものが通り過ぎるのが見えた。

 視線を前に移すと、僕の横を通り過ぎた黒い塊は1つではなく、3ついることに気が付く。


 そのうちの1つは僕の腕を切った物だが、他の2つはクレマとシモに攻撃を仕掛けようと二人の元へ駆けている。

 2つの塊は僕の腕を切ったものと同じような鉤爪型の刃物をむき出し、二人に切りかかった。


 ...しかし、アカデミーの成績優秀者達に僕の心配は無用だったようだ。二人は当然かのようにその攻撃を躱し、体勢を立て直した。

 僕は左腕を押さえながら二人の元へ駆け寄る。


 四足歩行の獣のようなシルエットをした3つの黒い塊は、奇襲の失敗によって再び距離を取り、僕たち3人と対峙する形をとった。

 ここで僕は、ようやく敵の正体に気づく。



「こいつらが、悪獣あくじゅう.....!!」



悪獣あくじゅう

 それは創造神によって創り出されたとされている、黒鉄くろがね機獣きじゅう。真っ赤に発光する眼と、鋼鉄でできた黒光りする体が特徴。

 創造神がこの世界に及ぼしている最も直接的かつ厄介な要素で、この悪獣達が大量に大陸を徘徊していることにより各国間のアクセスが難しくなり、人類の繁栄を阻害しているのだ。

 悪獣には幾つかの種類があるが、決まって好戦的で、無暗に近づくことは極めて危険とされている。

 しかし、なぜか国の周辺には寄ってこない為、実物を見るのは僕も初めてだ。


「ソウゾウシンノテキ!!」

「ソウゾウシン!!!」

「ソウゾウシンノタメ!!」


 三体の悪獣が口を動かすことなく鳴き声(?)を発する。

 クレマはそんな悪獣達を面白そうに観察する。


「へぇ、これが本物の悪獣か。アカデミーで習った通りなら、こいつらは『狼型』。悪獣の中でも一番基礎的で、個体としては1番弱い型だ。」


 彼女が主席の知識で解説をしてくれたが、弱いとか言ってくれたせいで絶対に左腕に滴る血を見せることができなくなってしまった。

 一方、シモは今にも反撃したそうにウズウズしている。


「ねぇねぇ!弱いんなら作戦とか要らないよね!?ヤっちゃっていいよね!?」


(ヤっちゃっていいって...)


 僕はこの美少年をどのような目で見ればいいのか分からない。

 クレマが若干引きながらシモを諭そうとする。


「シモ...一旦落ち着け、弱くても3体いるんだ。無暗に突っ込んだら...」


 クレマの冷静な状況解説も空しく、シモのブレーキはとっくに効かなくなってしまっている。...いや、元からコイツにブレーキなんて物はなかったか?


「じゃあ3体ともシモが殺すって作戦で!!」


 シモが3体の悪獣の元へ突っ込む。

 クレマはもう何も言えなくなったのか、首を横に振りながら片手をおでこに置いて大きなため息を吐いた。

 かくいう僕も、シモに牙をむく3体の悪獣達を唖然と眺めることしかできなかったのだが。



 ....しかし数秒後、僕は想像を遥かに超えるシモの戦闘能力を目の当たりにすることとなる。




続くッ!

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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