召喚
今回もご拝読ありがとうございますm(_ _)m
再度クリエイションルームに強制送還されたキキこと私。
「第二期クリエイションは身体の生成になります。おおまかに設定してください」
その声の後に、身体のキャプチャー画像が出てきた。
よくあるMMOのキャラクリってやつだった。
「こんなもん、手慣れたモンだぜぃ」
そう言って順調にキャラクリを始めると、急にルームがバグって真っ暗になり、妙な声が聞こえる変な場所に追い出された。
「ヤ~ハレン、ジャ~ハレン…」
そんな声が永遠に聞こえて自分を中心にこれまた妙な仮面を被った部族がぐるぐると踊り、廻り続けている。
あまりにも気持ち悪かったので、とりあえず声をかけようとした。
「おうぇrgm;ぎえcろ;?」
思ったように口が回らない。思いの外この世界で言葉を出すのが難しいのか自分自身気持ち悪い声が出てしまったことに自責の念に駆られた。
「ヤーヤー!!」
踊りが一斉に止み、一瞬静寂が訪れたかと思うと一人のシャーマンが近寄ってきてこちらに念じてきた。
『お前、頭大丈夫か?』
それはこの場で一番おまいう的な発言だった。
『今から念通者の巫女を呼んでくるから少し待っとれ!』
そう叫ぶと、そのシャーマンは後方にあったテントに戻り、一人の物々しい巫女シャーマンを呼んできた。
『話ができますか?』
するとそのパサーの声で漸く会話が成り立ち、次に行動を取ろうとした。
その時、身体は一人でに木の方に走り去り、意味不明な言葉を喋りながら卑猥な行動を木に向かってしていたのだ。
シャーマンの一組の親子は見ちゃいけません! と言わんばかりに目を背けて、シャーマンは一向に理解に苦しんでいた。
自分の本当に取りたかった行動は
「はい、ありがとうございます! 自分、イツキって言います!!」
だったのに対し、あまりにも非礼すぎる対応で心苦しかった。
そこにある人間が立ち寄ってきて、シャーマンたちに
「ちょっとすみません」
というとキキを連れ出していった。
人影が消えてある程度の場所に出るとその人は
「俺だよ、ガクだ!」
と名乗り出る。
キキは再び木に向かって卑猥な行動を取るが、ガクには
「助けてくれ、通じているんだ!」
と、しっかり聞こえていた。
「お前なんかあったのか、イツキ?」
漸く会話が成立するも、不本意な行動に戸惑うキキは自分がキキだということに向き合いたくなかった。
「話が通じるのか!? そうかお前ガクか! 言葉が通じるなら、あの仮面野郎に翻訳してくれ!」
と伝えてみると
「お前あの仮面の声が聞こえるのか? 俺には現状お前の声しか聞こえないぜ? あとあの巫女みたいな格好してるやつな」
と返ってきた。通訳が二人必要な現状に非常に戸惑っている二人だった。
「そんな事よりなんでお前そんな奇抜な行動に出てんだよ?」
と言われて、木に感じるイツキは
「よくわからん! エラーっぽいのでたけどなんか関係あるのか?」
といい、これまた事細かにクリエイションルームに起きていたことを一から十まで説明した。
「はじめのエラーで起きたことはわかった。お前、SAN値っていうのは精神異常度ってことだ。マイナスってことはえげつなく精神に異常をきたしてるってことになる」
それを聞いて冷や汗をかくキキ。
「二度目のエラーはよくわからない。何にしてもお前の言う言葉が理解できて助かった。お前も俺も風評被害は助からないだろうが」
それはそうだと納得するキキ。
どうしたもんかと何も行動を思い起こさずに想像するキキにまた先程のシャーマン巫女がやってきて
「大丈夫ですか?」
と声をかけてくる。
どう返答していいか迷うキキにガクは
「コイツの事はもう大丈夫だ!」
と説伏するとわかりましたとばかりにお辞儀しシャーマンたちの方へ去っていった。
要するに俺は何らかのエラーでクリエイションルームで身体を生成したのではなく、あのシャーマンたちに召喚された事になってるらしい。
一通り理解するとガクはある事をキキに伝えた。
「この世界、ログアウトできるらしいぞ」
そういう説明があるなら最初に言わんかい!とツッコミを入れたくなったキキは早々にログアウトの手順を教わり、現実世界に戻っていった。
更新ペースはできる限り不定期ですが平日の日中にしたいと思います。