表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロの創世記  作者: hayabusa_zero
第3章 かーばんくるぱにっく! ~スイーデの鼠騒動編~
42/47

6.森の異変

 街を出発してから数時間ほど南東に進んだところで、僕たちはクスリの森と呼ばれている場所にたどり着いた。森の中には木々に混ざって、所々に巨大なキノコが生えている。

「うわぁ~…あんなに大きいキノコ、初めて見た…」

「あれはタイボクタケ。魔力の多い場所に生えるらしいけど、私も実物は初めて」

 巨大なキノコを見上げる二人の横で、ルナは難しい顔をしながら首を傾げた。

「…前来たときはもっとおっきかったと思うんやけどなぁ…。時期的なもんなんかな?」

「え、今でも僕たちの背丈以上の高さがあるんだけど?!」

「今はせいぜい2m位やろ? 前は周りの木々と同じくらいの高さはあったで」

「そ、そんなに大きくなるんだ…」

「…森の調査も必要かもしれないけど、今はピンチビードルの討伐が先」

 僕たちががしげしげとタイボクタケを眺めていると、シイがパンパンと手を叩いた。ルナの案内の下、ピンチビードルの痕跡を探しつつクスリの森の奥深くへと進んでいく。ことになったのだが…

「お、サイレントフラワー発見や! これも残り少なかったんよな~」

 道端に薬草やキノコを発見しては採集に向かってしまうため、探索のペースは非常にのんびりとしたものになっていた。

「このペースだったら、いつまでたってもピンチビードルの討伐ができない。討伐まで採集はお預けにする」

「そんなぁ~、こんなに仰山生えとるのに…」

「まぁまぁ、サクッと討伐してた後で、心置きなく採集しましょうよ」

「それもそうやなぁ…。しかし、前来たときはサイレントフラワーなんて生えとったかな?」

「そういえば、ルナちゃんが同行したのはハウリンクフラワーの採集が目的だったよね?」

 サイレントフラワーの群生を後ろ髪をひかれるような表情で見送ったルナだったが、リーシェの一言にポンと手を叩く。

「そうや、なんかおかしいと思うたら全然ハウリングフラワーが生えとらんやんか! それこそ、あそこのサイレントフラワーと同じくらいデカい群生があっちこっちにあったんやで?!」

「もうかれこれ数時間は探索してるけど、ハウリングフラワーなんて全く見てないよ?」

「植生が変わったのかな…? でも、そんなに簡単に植生って変わるものだっけ?」

 そんなことを話しつつしばらく進んでいると、森を横断するように木々が薙ぎ倒されている空間があった。その幅は街の大通りよりも広く、どこまでも先に続いている。

「おぉ~、これはついに痕跡を見つけたんやないか?」

「…まだ断面が新しい。この先を追いかけたら、目標のピンチビードルがいるかも。だけど…」

 へし折られたような倒木に近づいたシイは、しばらく断面を観察してそう口を開いた。その表情には困惑の色が浮かんでいる。

「ピンチビードルの大きさからすると、これほど大きな通り道を作るとは考えにくい。それに、こんなに広い範囲を動き回る魔物でもない」

「ということは、群れでどこかに移動してるって事…?」

「いや、それはない。ピンチビードルは縄張り意識が強い種族。群れを成して移動するとは考えにくい」

「う~ん、それじゃあ一体どういうことだろう?」

 首をひねるリーシェ達の横で、ルナはぽつりと呟く。

「…ひょっとしたら、ヌシが動いたのかもしれへんなあ…」

「ヌシ?」

「ああ。この森の奥にはなぁ、通常の倍以上のデカさのピンチビードルがおってな。ここいらの冒険者からヌシと呼ばれとるんよ」

「ヌシかぁ…もし暴れているのがそのヌシと呼ばれているピンチビードルだとしたら、その原因は何だろう? この森の異変と関係あるのかな?」

「さぁ…ともかく、この跡を追えば森を荒らしている奴と会うことができる。行こう」

 こうして僕たちは、森を荒らす魔物の後を追いかけていくことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ