9話
何もかもがリアルだった。
言葉の節々から所作に至るまで。これが本当にゲームなのだろうか。
それを確かめるためにもう一度。ゲームの中へ入っていく。
―
何事もなかったかのように街は活気にあふれていた。
パーティー欄には名前は載っていない。
ギルドに顔を出す。
「こんにちは_____様今日はどのようなご用でしょうか?」
一縷の望みを求めてメンバー募集をする。
―
募集は一人だけだった。この間選ばれなかったもう一人の方だった。
職業は____
性別は____
顔は_____に似ている気がする。
「申し訳ございません。そのような方のお名前はございません」
記録からも抹消されるのか…。
もう一生顔を見ることすら許されない。それがこのゲームなのだろう…か。
「どうなさいましたか?メンバーがお気に召さないようであれば再度募集をかけさせていただきますが、メン
バーがいないと攻略にもお時間がかかると思われますのでお一人よりは…」
それはわかっている。わかってはいるのだが…どうにもすぐには新しく組める気がしないのだ。
―
時間は流れ心が落ち着き、新しい仲間と一緒に冒険に出る。
そう思っていた。
「実は他の方と冒険に出てしまいまして、現在募集をかけている最中でございます。少々お待ちください」
時間制限もあったりするのか…。そこまで現実に似せなくてもいいのではないだろうか…。
冒険の用意をするために、街へ繰り出した。
―
「今____様に合いそうな方はこの方です」
いかにも人相が悪い人だ…。
「職業は_____でクエスト達成率は100%と優秀なお方です」
クエスト達成率は70%が普通である。
100%ということはよほど優秀なのか、或いは…
その人と組むことになった。