7話
火を眺めていると落ち着く。
音と暖かさ、まるですぐそこにあるように感じる。
相棒は鼻歌を歌いながら料理をしている。
焚き火の火が消えないように木の枝を定期的に入れる。
ちゃんと入れないと消えてしまう。そこまでリアルにしなくていいと思うんだけど…。
パチパチする火花が顔に当たる。熱くないはずなのについつい手で払ってしまう。
「大丈夫かい?」
たまたま見られたようだ。少し恥ずかしい。
首を横に振るう。
「そうか、気をつけてね」
そういい、元に戻る。
―
「お待たせ」
料理を持ってきて自分に渡してくる。
ありがたくいただく。HPもちゃんと回復する。
「お口に合うかな?」
正直味がわからないから、首を__に振るう。
―
食事が終わり、焚き火に枝を入れていると片付けが終わった相棒が帰ってくる。
「そろそろ休もうか」
丸太を枕に、葉を背に横になる。
『セーブができません』
やはりこのクエスト一度だけのクエストみたいだ。
公式に書いてあった。
一度だけしかできないクエストがある。そのクエストは途中セーブはできない。途中でログアウトしてもクエストは中止と
いうことになる。そして一生受けられないことになるクエストがある。
それがあの言葉。
―
「この依頼…本当に受けますか?」
―
目を閉じると数字のカウントダウンが始まる。
カウントダウンが終われば朝になるという仕組みだ。
少し気になり、目を開ける。カウントダウンも元に戻る。
そして自分はー
朝になり、焚き火を消す。