15話
「早くきなされ」
動きは遅いはずなのに一歩一歩が着実だ。
自分の方が若さがあるはずなのに全然ついていけていない。
なぜ、老人に追いつけない。
特別なことをしているようには見えない。
追いつけない…。
―
「ここで休みを取る。休みなさい」
素早い手つきでテントを立てる。
寝袋の中に入る。
ご老人の言葉が頭の中で木霊する。
『そんな心意気でこの依頼を受けたのか…』
ゲームに心意気も何もないじゃないか…。
でも気になる。
心意気がないと受けてはいけないクエストなのだろうか。
そうこう考えている間に朝となる。
―
「行きますよ」
老人は歩く。それに続く。
昨日より足取りが重い。
―
山を登り中部で目的のものを採取する。
「これを持って帰れば問題ねぇ」
そういうとご老人は腰を下ろす。
帰らないのかと問うと、
「山を登ったんじゃ、少しくらい休ませんかい。お前さんは何もしておらんてからに」
確かに、ここには着いて来ただけ。
特にモンスターなどが出て来たわけでもない。
それならなぜ一緒に来たのか。
謎は深まるばかりだ。
―
受付「確かにお預かりしました。それではお疲れ様でした」
報酬金だけいただいた。
帰ろうとした瞬間、受付さんとご老人の話し声が聞こえる。
受付「今までお疲れ様でした」
「最後がこんなものになってすまなんだ」