10話
「______か。よろしく頼む」
握手を交わす。
お互い笑顔だが、腹の探り合いだ。
クエスト遂行率100%の裏側、そして向こうは純粋にこちらが使えるかどうか…。
「それじゃまずはこのクエストを受けようか」
今受けられる中でなかなかに難しい部類である。
「これ意外と簡単だから」
そんな甘い言葉に乗って、クエストを受注する。
―
クエスト内容自体は簡単なものだった。
物資を運ぶだけ。
ただ、それだけなのに難しい理由は道中にある。
遠いが厳しい道。近いがとても厳しい道。
どちらも移動手段が歩きのみ。
「道はこっちだ」
決める権利は無いようだ。頷きついていく。
―
この道は…二択にすら載っていない道だ。
「この道は他の道に比べて危険度が明らかに低い。この抜け道があるかないかでクエスト達成度が高い理由
だ」
どうやら腹の探り合いでは負けていたらしい。
ゲームがゲームの穴をつくとはどういうことか。
よくもわからないまま、後をついていくことにした。
―
実に順調に進む。まさか第3の道があるとは思いもしなかった。しかもそれがゲーム側から提示されるとは。
モンスターにも合わず、近い道でも二日かかるはずだったところ、1日でついてしまった。
「これで証明されただろう?」
確信せざるを得ないのか。
AIが考えすらも読み込む。
それに対しての行動を取ってくるのか。
それだったらどうして…。
物資を届け、認印を押してもらう。
宿屋に泊まり、次の日に立つことになった。
「それではいくか」
帰路に着く。同じ道を通って。