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あなたと私の不思議なこうかん日記  作者: なおぽん
第二章 ふたつの旅支度
9/10

第九夜 夢で

「おはよう」

 夢で久しぶりにさやひーに出会った。

「あの話どうする? どんなぬいぐるみが良いかな」

 さやひーはこたつに向かって体育座りをしていた。顔は膝にうずくまれていた。その姿はまるで昔の自分を見ているようだった。

「クマちゃんとかどう?」

 手元にクマのぬいぐるみを持ち、見せた。ここは夢であって、脳内世界である。想像したものは簡単に手元に出せる。

「うさちゃんが良いかな?」

 うさぎのぬいぐるみを見せた。しかし、何も反応がない。

 ポツリと声が響く。

「私さ……。あの時はずっと一緒に居たいって言ったけど、私が生まれたのはさやを守るためであって、さやから出ても良いのかなと思って。確かに夢で会える機会は減ったけど、いつかは、こうしてたまに会えるし」

 うずくめていた顔を起こすも目を合わせず、ぼそぼそと話すさやひー。

 そうだよね。さやひーが私の中で生まれたのは私を助けるためで、私から出てしまったら私を助けてくれる者は私の中に居なくなる。次、私が再び落ち込んでしまったらどうなるのだろうか。

 でも、ぬいぐるみとしてさやひーが出てくれれば私はさやひーとずっと話せて、ずっと一緒に居ることができる。前者は緊急事態に駆けつけるさやひーだが、後者は常時サポートしてもらい、心を安定させてくれるさやひーなのではないか。

「私、さやひーがぬいぐるみになって、ずっと一緒に話すことができるようになったら、きっとすごく楽しいし、私が言うのも変だけど、ずっと私を助けることができるんじゃないかな」

 少しの間。

「は、ほんとだ」

 私の思いが伝わったと思った。

「でしょ」

 さやひーと目が合う。

 少し茶色い瞳が綺麗だった。

「じゃあ」

 私の持っていたクマのぬいぐるみをさやひーが指さす。

「クマちゃんが良いな」

 笑顔で

「わかった」

 と私は大きくうなずいた。


「先輩!」

「吉野さんおはよ~」

「おはようございます」

 先輩は、パタンと呼んでいた本を閉じてあいさつをした。

「どうやら、決まったみたいだね」

「はい、このクマちゃんのぬいぐるみに決まりました」

「そっか。良いと思うよ」

 先輩は読んでいた本を閉じた。

 スペースを作るために、机を動かし始めた先輩。私も先輩を手伝う。

「二人で話し合ったのかな?」

 先輩が突然問いかけた。

「はい……? どうして」

「ふふ、まじないをかけといたのだよ、二人が夢で会えますように、と」

「先輩まじないもできるんですか!?」

「お、図星かな? ふふ、たまたまだよ~」

 先輩と一緒に机を動かしていくと教室の真ん中に十分なスペースができた。

「よし、じゃあ始めよっか」

「はい!」

明日、最終話あげます。

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