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【完結済み】破壊神のしもべはまったり待機中 ~女神様がほぼ仕事しないので、俺ものんびり異世界青春スローライフすることにした~  作者: 夢ノ庵
第2章 砂漠の魔法国家で貴族するのに必要なのは、お金とかより魔力の様です。

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第25話 俺、全肯定に非常に戸惑うの巻

 

「どしたの? ヒューさんとフェリクシアさんの魔法、見なくて良いの?」


 俺は胸にある一つの不安から、アリアさんと2人で話をしようと思った。

 相変わらず俺は女々しいなぁ……ヒューさんに言われても、風呂に沈められても、直ってない。


「あのさアリアさん、フェリクシアさんとは仲良くやっていけそう?」

「フェリクと? うんもちろんだよ、どうしたの? 何か不安とかあるのかな?」


 フェ、フェリクぅ? ニックネーム呼びなんてそんな……俺の心配は完全に的外れ確定じゃないかぁ……


「シューッヘ君? んー……もしかして、あたしがフェリクに嫉妬してるとかって思った?」


 俺は自分の自信のなさと女々しさとで、超恥ずかしい気持ちで一杯になっていた。

 頬が燃える様に熱を持っているのが分かる。それを見られるのは恥ずかしいけれど、手で隠すのも同じ位恥ずかしいので、見られるがままにしている。


「そっかぁ、シューッヘ君の中であたしって、結構嫉妬深いんだね」


 アリアさんが苦笑する。俺は慌てて、


「そういう意味じゃっ……その……俺さ、女性との距離感とか分からなくて、女性同士の距離感なんてもっと分からなくて」

「うんうん」

「だから、って、言って良いのかも分かんないんだけど、俺とフェリクシアさんが一緒にいちゃダメなのかなとか思ったりして……」

「不安だったね、シューッヘ君。よく我慢できたねー、えらいえらい」


 言葉こそ子供をあやす様なフレーズだったが、アリアさんは俺の髪に手をやり、そっと撫でてくれた。

 アリアさんの手のぬくもり。不安に怯える俺の中の何かが、少しずつ癒やされていく様にすら感じる。


「あたしはー、シューッヘ君がこれからどういう風に変わっても、いつもそばにいたいの。それこそ、シューッヘ君が女たらしのゲス男になったとしても。

 あたしが、一緒にいたいの。シューッヘ君と一緒にいるとね、自分まで何でも出来る様な気がしちゃう。もちろん、それは間違いだって分かってて、それでもそう思えるの」


 アリアさんが、俺の横から正面に、スッと移動した。

 目線が間近に交わり、ドキッとする。ドキッとするけど、気分は悪くなんか無い。


「もしもあなたがフェリクシアさんを気に入ったとしても、あたしはあたしなりに、シューッヘ君にもっと気に入ってもらえる様に努力するよ?

 だからもしあなたが、あたしよりフェリクシアさんを近くに置いても、嫉妬なんかしない。あたしは必ず私の力で、あなたを射止めるから」


 アリアさんが立ち上がる。けど俺は立てないでいた。

 アリアさんを下から仰ぎ見ると、活き活きとしていて迷いも無さそうな表情をしてる。いつも元気で、見ていて俺まで元気が出てくる笑顔……


「あーんもぅ、そんなに悩んじゃった顔も可愛くて仕方ないわよ? うりゃうりゃ」


 突然アリアさんの両手で頭をくしゃくしゃっとされる。

 何だか男女の固定観念が崩れていく様にすら感じる。

 男がいつもリードして、女はいつもリードされるだけ、そんな古めかしい地球社会の呪縛が、ほどけていく気がする……


「さっ、折角の領地での初仕事じゃない。あなたより先にヒューさんやフェリクシアさんに良いとこ取られても良いの?」

「……良くない。俺の領地だから、俺が一番かっこつけたい……」

「じゃあ、堂々とかっこつけに行こうよ! 俺様が一番だって、胸張って誇って良いんだよ! シューッヘ君はそれだけの人だもの!」


 パッと目の前にアリアさんの手が差し出される。俺は言葉なくその手を優しく握った。

 と、逆にアリアさんからガッシリと握手を摑まれて、引っ張って立たせられてしまう。


「あたし、いつも見てるから。シューッヘ君の、格好いいところもそうでないところも。全部見て、それで好きなんだよ?」


 アリアさんが摑んでいる手をグッと引いた。俺の身体は為されるままにアリアさんを抱き留めてしまった。

 わ、分からない、分からない、どうすれば良いんだ、どうすれば正解なんだ??


「ふふ、対処出来ないって顔してるぅー。良いんだよ、何しても、しなくても。あなたのしたいようにすれば良いの」


 俺は、頭の中が真っ白、って表現を初めて体感した様な思いだった。自分がしてもらったように、頭を撫でようとして、手が止まった。

 そうだった、アリアさんは、修道院の件で髪を下ろしているのをすんでの所で思い出した。今はウィッグ、触られても嬉しくないかも知れない。

 じゃあ手は何処へ? 肩? 背中? 抱きしめちゃう? 腰まで支えるの? 顔は何処見れば? えーー


「だからぁ、あなたのしたいようにして良いんだって。頭、取りたかったらとっても良いよ? ホントに自由にして良いんだから」


 俺は何処から沸いてるのか分からない激しい動揺のまま、アリアさんの背にゆっくり手を回して、ギュッと抱きしめた。

 ある意味これが限界だった。


「んー……シューッヘ君の胸、思ったより厚いんだね。もっと華奢なのかなって思ってた」


 俺の胸に顔を押し当ててるアリアさんが、呟くように言った。

 俺は、こうしている間も、アリアさんの柔らかい所が身体に密着していて、頭も身体もショート寸前だった。


「じゃ、そろそろ行こっか、ゆでだこ君っ」


 アリアさんが再び俺の手を摑むようにして、アリアさんに引っ張られて元の場所に戻る事になってしまった。



「とうの昔に穴は出来ておりましたが、お声がけ致す雰囲気ではありませんでしたので」


 青春ですなぁ、と呟きつつ、ヒューさんは馬車の御者台に座っていた。


「ヒューさん、お待たせしちゃってすいません」

「いえいえ。シューッヘ様がアリアを第一夫人に迎えて頂けますことを、養親として願っております」

「ま、まだ早いってヒューさん……」


 俺は消え入りたい気持ちがありつつも、気力で前を向いた。


「土砂の穴はどうでした」

「突然ですな、まぁ良いでしょう……入口土砂、と言っても良い程度の、薄い崩落でございました」

「今は、プロセスとしてはどうなってます?」

「今現在、フェリクシア殿が魔力を内部に流し込んでおります。が、少し時間が掛かりすぎている様にも思えます」

「無理してるのかも知れない、行ってみようアリアさん」

「うん、初仕事ってつい力は要り過ぎちゃうからね、無理してそう」


 俺とアリアさんは100番坑道入口まで駆けていった。



「シューッヘ様に、アリアさん。少しばかり困ったことになりました」


 2~30メートル程度だが駆けていくと意外に遠いものだ。いやそれは良い。

 フェリクシアさんが困り顔のまま、鉱山に両手をかざして仁王立ちしている。


「困ったこととは? 魔力が入らなかったりとか?」

「いえ逆です。魔力をどんどん注いでいるのですが、よほど坑道が広いのか、内部の圧力が上がる感覚が得られません」


 グレーディッドともなると魔力の入り方ってデータだけから、中の満タン具合も分かるのか。

 俺の魔法力が、何だか荒っぽくて雑多な代物のように思えてしまうが、グレーディッドが凄いだけだな、きっと。


「例えばですけど、どこかに通気口があったりしても、同じ現象になりますか?」

「なります」


 あ゛、アッチャーしまった、通気口の事完全に忘れてた!

 もし鉱山でも深く掘るなら、通気口が無いと人間は酸欠で死んでしまう。鉱山なんて初めてだから、かなりうっかりした……!


「フェリクシアさん、魔力の流し込みを一旦止めて、今現在時点の中の魔力を発火させて下さい」

「かしこまりました。山体が崩壊する事もあり得ますので、全員後退しましょう」


 フェリクシアさんの指示と誘導で、鉱山から離れる。馬車まで後退をしたところで、フェリクシアさんが一言、


「では、発火させます」


 と言い、何やら詠唱をした。耳にズーンッと響く低音が届くのとほぼ同時に、足下から突き上げられる様な衝撃が走った。


「きゃっ」

「アリアさん!」


 衝撃にふらついて倒れそうになったアリアさんの肩を摑んだ。幸い、二人揃って壮大に転ぶのは避けられた。


「あ、ありがとシューッヘ君」

「うん、大丈夫そうで安心した。フェリクシアさん、山体は無事そうですけど、入口も吹き飛ばなかったですね」

「シューッヘ様、山のあちこちから煙が漏れております。つまり、この山は隙間が多く、爆破系の対応は不向きだと考えます」

「うわーそしたら手掘りしかないのかコレ。スコップで掘るだけだと、3,000年前と何も変わらないなぁ」


 俺はちょっとゲンナリした。手掘りで掘り当てられなくなったから、廃坑なんだ。

 再び手掘りしたって、それはまず絶対出てこない。何か別の手を考えないといけなくなった。



 俺の手札。ヒューさんの手札。アリアさんの手札。フェリクシアさんの手札。


 フェリクシアさんの初手は、残念ながら効果的では無かった。

 火魔法で爆風を伴う爆発を起こせても、山自体が圧力弁みたいに圧力を抜く様になっていたら、爆発も意味が無い。

 となると、火魔法での対応は難しい、と考えるべきかも知れない。俺の知らないスタイルの火魔法があれば別かもだが。


 アリアさんの手札は、掘削魔法なんてダイレクトなものまであるから、かなり色々出来そう。

 そう言えばギルドの男性の……ルイスさんだっけ。俺の部屋から駆け出して井戸掘りに行ったのって。井戸が掘れるなら、掘削も……


 ん? なんか今、引っかかったな。

 なんだ?

 ルイスさんが、

 部屋から駆け出して、

 井戸掘りに。


 ……井戸、井戸か!


「ヒューさんっ! 魔法要素って、水に溶けたり空気に溶けたりしますか?!」

「水には溶け込む性質がございます。空気に溶ける、というのは、申し訳ありませんわたしでは分かりませぬ」

「少なくとも水には溶けるんですね、ありがとうございます!」


 これで一歩前進。掘り進めるべきは、水平では無かった。垂直だ!


「アリアさん、俺、摑めたかも知れない。ノガゥア子爵家の財宝を」

「本当?! やったじゃない! 後は試してみるだけ?」

「そうだね。ただ、今日の装備じゃ完全に準備不足だ。次回の時には装備を整えて挑むよ」


 断言はしたけれど、実は俺自身、揺らいでない訳じゃ無い。上手く行かない不安も抱えている。

 けれど、失敗したら、395分の1本が使えなくなるだけだ。まだ394回、リトライ出来る!

いつもありがとうございます。ご評価、本当にとてもありがたいです。

より一層頑張りますので、是非この機に「ブックマーク」といいねのご検討をお願い致しますm(__)m

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