表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】破壊神のしもべはまったり待機中 ~女神様がほぼ仕事しないので、俺ものんびり異世界青春スローライフすることにした~  作者: 夢ノ庵
第2章 砂漠の魔法国家で貴族するのに必要なのは、お金とかより魔力の様です。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/303

第10話 魔法教練始まる。筆頭が火魔法なのはドコの世界でも同じか……?

 教練の前。遅めの朝ご飯を、俺はアリアさんと食べていた。


「ここで話題にしちゃマズいんだけどさ、アリアさん今日からの『アレ』って、自信はある?」

「あたし全然自信ないわ。初級のはずのあなたにも届かなそうなあたしが、何か出来るのかしら……」

「俺の初級は7,000年前が基準なんだって、女神様が仰るには。だから今とは基準ズレるみたいだよ?」

「はあー、それでどの記載も変だった訳ね。あたしの魔法がおかしいのかと思った」


 食べていると、つい無言になりがちになる。だから敢えてしゃべった。けれど、話題は続かない。

 それ位に、今日の魔法教練に対しては、緊張感が先行している。相手はローリストップレベルのエリート魔導師たち。

 まさか命に関わる様な戦闘演習はないだろうけれど、魔法力が尽きる様なタフな試練はあり得る。


 メイドさんが、まさかねぇ……特殊工作部隊って、うーん。

 メイドさんだけの特殊部隊。それだけでファンタジー小説1本書けそうな題材だ。

 けど、これはファンタジー小説ではない。俺に降りかかる『リアル』である。魔法喰らえばリアルに痛いだろうし。


 いずれにしても、もう後30分もない。食べ終えてちょっと食休みしたら、もう本番である。

 特に今日は初日なだけに、何があるか分からない、ってのが加わって余計に緊張する。明日からはもう少しは楽だろう。


 俺は手早く皿を空にして席を立ち、アリアさんに手を振ってその場を後にした。



 ***


「それじゃあ今日のメニューね。アルファからデルタまでが担当。四大魔法属性を深く学んで頂きます」


 メイド支度室に行くと、メイド長さん含め5人のメイドさんがいた。

 アルファ、と呼ばれるのは、火魔法特化の魔導師メイドさん。目が既に据わっている。

 ベータ、こちらは水魔法がご専門だそうな。どうと言う特徴が無いボブヘアのように見えて、耳の後ろに左右それぞれ、ブルーに染められた毛束が一筋ある。

 ガンマ。風魔法特化さん。ショートヘアの黒髪。この国で若い女性は黒髪以外見たことが無い。ガンマさんも例外ではない。ツヤ感のある髪だ。

 デルタさん。ちょっと視線が浮いているというか、何処見てるのかよく分からない、この4人の中では一番ふっくらした人。いやメイド長さんは全然別格だよ?


 メイド長さんがさらりと、昨晩の紹介の復習みたいに各属性を言ってくれた。記憶と何とかズレなく覚えていられた。

 この4人の中ではどうもアルファさんがリーダー格になるらしく、他の3人に何やら指示出しをしている。

 荷物……詰め込んでいるバッグこそ旅行カバン的な雰囲気の物だが、入れているものがヤバい、チラッと見えた限り。

 ナイフ4本が差し込まれたベルト、それとマチェットはそれぞれが持っている模様。更に、宝石なのか石が付いた短い杖的な物も、それぞれ持つ。

 後は水とか果物をメイドさん同士で分けて、相当量持っている。今日の教練場所は水道もないのかな……


 まだメイド長さんから、教練場所についての説明はない。実技を含む以上、このメイド支度室では手狭だし、土魔法なんて使えなさそうな気もする。

 俺たちが練習したように、城塞都市外かな? でもあそこじゃ熱くて、実技は出来ても座学は出来ない。

 両方出来そうな場所、というのが俺にはちょっと思いつかなかった。


「では? あなたたち準備できましたね? それでは、ノガゥア卿とアリアさん。アルファの後に付いて、王宮外へ出ましょう。

 その後の指示は、全てアルファが出します。今回の作戦本部長さんね。よく従って下さいね」


 俺は思わずはいっ、と大声で答えた……のだが、ベータさんとガンマさんの二人にクスクス笑われてしまった。

 アリアさんがそれに対してちょっと何か言いたそうだったが、俺は手と目線でそれを制した。

 今回俺たちは、完全に何もかも教わる側。しかも実力差は圧倒的。何をされても、言われても、はいっ。これしかあるまい。


「アルファさん、と呼べば良いですか」


 荷物を肩に担いだアルファさんに、呼び方の確認をする。今この『(なぎ)』の場所だからこそ聞ける、安穏とした話だ。


「アルファとお呼び下されば結構です、ノガゥア卿、アリアさん。私たちは、今日は今したようにあなた方を呼びます」


 つまり今日は、俺はノガゥア卿と、アリアさんはアリアさんと呼ばれる、と。特に変なことは無い。


「では参ります、私を筆頭に、ノガゥア卿とアリアさんがその後、そこから後陣は進軍A」

「了解っ」「アイサー♪」「分かりましたぁ」


 それぞれの答え方が、何となく性格が出てる気がする。

 ベータさんは真面目そうだし、ガンマさんは気軽げで、そしてデルタさんはおっとりしてる。

 あくまで見た目と声の話し方の印象だけで、そう決めつけるのは早計だが、少しでも特徴を早く摑みたい。


 アルファさ……もとい、アルファが先陣を切って進むのを、俺はさっとすぐ後ろに付く。俺の斜め後ろにアリアさん。

 その後ろに、一列になってメイドさんが並ぶ。ベータ・ガンマ・デルタ。さっきまでの順番と変わらずだ。


「ここから徒歩で、サンタ=イリアドームを目指します。進軍時間の想定は10分です」


 俺に説明してくれているのだろう、振り返ったアルファが行き先と掛かる時間を端的に伝えてくれる。

 そうか、あの正体不明の国防・諜報機能付きドーム施設『サンタ=イリアドーム』内での……

 中が分からない以上、ガチの戦闘演習もあり得る。座学だけのために、わざわざ国防上重要な施設は使わないだろう。


 そこから俺たちは、アルファの早足に必死になって付いていく感じに歩き、少し息が上がったが、イリアドームの間近まで迫った。

 間近から見るイリアドームは、相変わらず何色とも言いがたい、流動的な輝きをする不思議な外観だ。

 近くで見て初めて分かるのは、ドームの建物自体は白っぽそうなドームだ、という事。そこに分厚い膜のように、不思議流動体が覆ってる感じ。

 ドーム自体には入口が無いかのような、ぬめっとした様にすら見える外観なんだが、今の俺たちの正面には、槍持の兵士さんが2名、ドーム寄りに立っている。


「本日は既に入場許可を受けておりますので、そのまま入場します」


 アルファは、流動体なども気にする様子もなく、兵士を気にするでも無く、ドームに突撃するように歩いて行く。

 ぶつかるぞと思っていたが、ドームの一部がシューッという音と共に開く、自動ドア? そんな技術がここに?

 流動体は、特にぶつかるとかそういう感じでは無いようで、アルファは既に流動体の中、開いたドアの手前に立って、こちらを見ている。

 後れを取ってはいけないので、俺も足早にアルファに続く。アリアさんもキョロキョロしながらも、俺に続いてくれた。


 そうして入ったイリアドームの中。

 広いホールの様に、だだっ広い空間がある。中には研究職の人なのか、白衣を着た人があちこちにいる。


「イリアドーム内の構造等に付いては、今回は権限を付与されていないため質問には応じかねます」


 キョロキョロしていた俺とアリアさん。そのキョロキョロを制する様に、ちょっと強めの口調で言われてしまった。


「えーと……今日の教練は、座学からですか? それとも何か実技からですか?」

「まず座学を受けて頂きますが、座学専用の場所ではございません。座学で学んだことをすぐ実践できる場所で行います」


 と、アルファが俺たちに背を向けて歩いて行ってしまう。

 置いて行かれるといけないのと、俺が止まると後ろの3人のメイドさん達も止まるので、とにかく俺が動かないといけない。

『進軍』と言ってただけあって、軍隊の動きを意識しているんだろう。後ろの人が勝手に前に出る、とかは無いようだ。


 アルファに、駆けつける様にして追いかけると、広いホールからの一本の廊下へと入る。

 その廊下自体も広く、横並びで10人くらい歩けそう。左右には、たまにドアがあるが、王宮のドアとは違い、事務室的なドアがメイン。


 更に歩いて行き、アルファは行き止まりまで進んで止まり、こちらを向いた。


「今日からの演習は全て、このイリアス第3魔法吸収型大演習室にて行います。詳しい説明は、中で」


 と、扉に対してアルファが何か唱える。いや、名乗っただけか? 何に反応したのか分からないが、前の扉が観音開きに自動で開く。

 扉は大きい。それが大きく早く開くものだから、俺は驚いてちょっと後退(あとずさ)ってしまった。

 アルファより後ろに立っていてアルファが動いていない以上、俺の立ち位置は安全だ、というのは頭では分かるんだが、風を起こしながら開く大扉に肝を冷やさずには居られない。


「では入りましょう、ノガゥア卿」


 アルファが手先で、どうぞ、みたいな格好を作る。

 恐る恐る入った俺は、その「魔法吸収型」の「大演習室」とやらが、外観同様の不可思議空間であることを知った。


 ドーム状になった薄暗い演習室は、とにかくまず大きく広い。大演習室と言うだけあって、体育館並は最低でもある。

 ただ面白いのは、単にだだっ広い空間という訳ではなく、演習室の後ろの方には、8段位か、階段状に座席がある。それがこのホール円周に沿って半分ほど。


 そこを観客席と考えるならば、演習の実演を真横から正面まで、自由な立ち位置から見ることが出来る。演劇の舞台とかにも良さそうだ。

 対して反対側には、1枚のホワイトボード的な板が取り付けられた壁。いや、何か違う……

 ホワイトボード的なのはあるんだが、それ以外の壁面の全面が、何か投影するにも適したような平面になっている。プロジェクターOK、みたいな。


 結局演習室としては、半球のドーム内、と考えるのが比較的近い。ホワイトボード的な部分が若干低めにはなっている。


 俺がこの室内をジロジロ観察している内に全員入り終えたようで、さっき開いていた扉がバタンと閉じた。

 同時に、薄暗かった照明がパッと明るいものに変わる。


「この演習室内に飲用に適した水はありませんので、私たちが持ち込んでおります。喉が乾かれる前に、乾く予感程度で仰って下さい。補水は自由です。

 トイレは、この演習室の前面壁の向こう端に1つのみです。恐れ入りますが、全員で共用となります。演習時間は1時間を5本。各ターン毎に10分の休憩を挟みます。

 昼食時間を挟みますが、恐らくお食べになれないと思いますが、携帯食および果物程度の準備はございます。もし必要でしたらお申し付け下さい。ご質問は?」


 アルファの、一息で話す様な流ちょうな説明。今日の演習のグランドルールは理解出来た。1時間 x 5。各10分休憩。

 アリアさんは……大丈夫な様だ。かなり緊張した面持ちはしているが、俺と視線が合うと、しっかり頷きが返ってきた。


「質問は、俺からは特にないです。アリアさんも無いようだけど……無いのね、うん。それではアルファ、そして皆さん。今日は一日お願いします」


 俺から頭を下げる。アリアさんも釣られて下げてくれる。


「では、まず第1講は私アルファが担当致します。火魔法についての基礎確認から始めたいと思います」


 こうして、特殊部隊メイドさん達による猛特訓がスタートした。


いつもありがとうございます。ご評価、本当にとてもありがたいです。

より一層頑張りますので、是非この機に「ブックマーク」といいねのご検討をお願い致しますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ