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【完結済み】破壊神のしもべはまったり待機中 ~女神様がほぼ仕事しないので、俺ものんびり異世界青春スローライフすることにした~  作者: 夢ノ庵
第3章 英雄外遊編 ~ローリスからおそとへ出てみましょう~

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第76話 アリアはあたらしいちからをてにいれた、らしい。


「つまりアリアは、女神様の元に訪れて、ウロボロスの魔力をフルパワーで手に入れた、ってこと?」


 戸惑ってるのは寧ろ俺だ。女神様審査済み・15,000倍と言われるその魔力が解放されたら、一体どうなるんだ?



 それに……

 別にこだわる訳じゃ無いが……

 こだわる訳じゃ無いけど……

 俺より、飛び抜けて凄かったり、するのだろうか。



 アリアの表情を覗くと、最近見なかった余裕のある表情をしている。

 自然な笑顔。うん、この笑顔のまま、俺の心を読まないでいてくれると良いんだけれど。


「ついさっき奥様が、私の知らない魔法を唱えられ、魔力量をこの量に変化なされた。今の状態、感じられるかご主人様」

「うーん、俺には肌感で魔力ってのは、そこまで……魔法だから、アレか。[マギ・ビュー]」


 マギ・ビューの魔法を唱えた瞬間、目に映った「力の循環」に、正直おったまげた。

 アリアを中心に、ゆっくりエネルギーが、天井まで届く程に大きな『ドーナツ』の様に循環している。ドーナツの輪の位置がアリアだ。

 中心にいるアリアは、これでもかとギラギラに光っている。光り方も、発光というよりギラギラしてる感じだ。


 ハッと自分を見てみる。身体は同じく魔力で光って見えるが、それだけ。

 アリアの様な大規模な流れは、全く無い。フェリクシアを見ると、俺より光は薄い。


「あ、アリア。それが、ウロボロスの力? 危険性はないの?」


 ちょっと手のひらと脇に、精神的な汗が出て来る。

 あまりに膨大で、今まで見たことの無い魔力の量。正直怖さも感じる。


「完全に、安全にも出来るよ。[レット・マギ・クローズ]」


 アリアが魔法名らしきものを詠唱する。その直後、マギ・ビューで見えていた魔力の光は一切消えた。

 だがこれもおかしい。マギ・ビューでは、その人の生態魔力も分かる様で、フェリクシアも俺も、魔力を高めたり魔法使用前ではないが、光っている。

 幾らアリアの元々の魔力が少ないからって、マギ・ビュー下で完全に光ゼロは、違和感がある。


「今のあたしの自然な状態に戻すね、[レット・マギ・フロー]」


 また新たな魔法が詠唱される。すると、俺やフェリクシアより数段明るいが、循環してしまう程の大エネルギーでは無い様で、アリアが光ってるだけになった。

 これ以上眩しいものを見ていると、魔力の光ではあるが目がチカチカして来るので、俺もストップコードを口にした。


「マギ・ダウン」

「あ、今あたしが使った3つの魔法、シューッヘには2つだけ見せたけど、それってストップコードと同じように口にするだけで良いんだって」


 さっきの30分で説明を受けた、新しい魔法3つ、ってのか。


 アリアの魔力の状態は、3通りあるらしい。ウロボロスの力を最大に使える状態、自然な魔力状態、そして限りなくゼロに抑える状態。

 それらを魔法で切り替えられると説明されたが……ただそうか、ストップコードと同じスタイルの『言うだけ魔法』なのか。


「ねぇアリア、今の、魔力が無い状態でも、俺の心って読めるの?」

「読めないわ。女神様もそう言ってたし」

「そうなんだ。俺としては……アリアには、その状態でいて欲しいなぁ」

「ホントごめんね今まで。心、読むつもりが無くても読めちゃって、自分じゃ調整とか出来なくて。それについて、女神様から言われてることがあるの」

「ん? 言われてること?」

「この状態じゃなくて、通常の魔力状態で、読む力を調整する様にって。もちろん今はもううんざりだと思うから、読まない様に頑張る」

「んー……やっぱり魔力が無いみたいな今の状態だと、不都合はありそう? 女神様から何か伺ってる?」

「ううん、伺ってはいないわ。ただ何となくだけど、無い風に見せてるし魔法も使えないけれど、動く分には支障は無いっぽい」


 と、アリアがぴょんぴょんと2回跳ねてみせた。


「身体も別に重たくないし、変に疲れたりもしない感じ。それじゃ、あなたの前ではこの、魔力に蓋した状態でいるね」

「ありがと、アリア。ようやく……」


 何だかドッと来た疲れ。

 これまでアリアが心をいつも読んでくる事が、とても嫌になってしまっていた。

 これからもそうであり続けるのかは分からないけれど、今はとにかく嫌だった。

 それが、今この瞬間、ようやく解決された。バンザーーーーイ!!


 心は大ジャンプしているが、疲れ感の方が勝ってしまい、椅子によろよろと寄りかかり、座った。


「奥様、最初の状態で魔法を使うとどの位の威力になるか分かるか?」


 ちょっと見ないなと思ったら、キッチンでお茶の用意をしてくれていた様だ。

 ティートレイに3人分セット乗せて、キッチンの通路からフェリクシアが現れる。


「んー、女神様の前で魔法使った時に、女神様は5クーレアは熱で壊滅ーみたいな事言ってたけど、さすがに大げさよね?」


 その言葉に、お茶を配膳途中だったフェリクシアが表情もそのままに固まった。

 5クーレア、つまり……5キロメートル? が壊滅? ちょっとした核じゃん。

 そう言えばフェリクシアが使えそうだったって古代魔法だと、10クーレアが焦土になるとか言うけど。

 この世界の、魔力籠め籠めな魔法って、どれもこれも大破壊な代物ばっかりなんか?


「お、奥様。それは、真か……?」

「うん。結界で守って頂いてたんだけど、女神様が座ってた石の白かった椅子は、真っ赤になってたわ」


 熱、喰らう位置で魔法発動したのか。

 想定外だったのかも知れないが。


「あと、テーブルと私が座ってた方の椅子は、遙か彼方に吹き飛ばされてって、高い所から落ちて壊れてた」


 ……やっぱ核じゃん。

 超高圧の熱風、核爆発直後に出来る、死の熱波。それと同じ様な事が起きてる。

 どれだけ魔力籠めた魔法を撃ったんだろうか。


「アリアが使った魔法は、何か女神様から新しく賜った攻撃魔法?」

「ううん、火炎圧縮魔法。あたしオリジナルの、アレ」


 なんと。

 フェリクシアが結界1枚消耗せずに防ぎきった魔法が、もはや誰も防げない程の魔法に進化してしまうのか。


「アリアの魔法、ちょっと危険なレベルだね。生活魔法とかも、そんな感じになっちゃうの? あんまり生活魔法知らない俺が言うのもなんだけど」

「どうだろ、危なくないのを幾つか使ってみるね」


 アリアはテーブルまで歩を進め、テーブルに手を付いて、


「[シャイン]!」


 と力強く唱えた。が、何も変化は生じない。あれ?


「あ。今は魔力に蓋した状態だった、忘れてた。ここで解除するのは、危ないと思うから、真ん中の状態にするね」


 と、アリアがレット・マギ・フローと口にした。

 ふわっと。あくまでふわっとだが、存在感が増す。ただそれだけだ。


「あーうん。この状態だと、あたしの意志で魔力出す量も変えられるっぽい。じゃもう1回……[シャイン]!」


 テーブルに、シャインの魔法。王宮住まいの時、メイドさん達がよくやってた。

 シャインの魔法は、机には面白い作用の仕方をした。アリアの手がある所から、光の波紋が広がってテーブル全体を通過する。

 通過した後を見ると、最近ちょっとくすんできた感じだったテーブルの表面に、新品ニスでも塗った様な艶やかさが生まれた。


「おー、見事だねアリア。机が、借りてきた時より綺麗かも知れない」

「シャインは苦手だったんだけど、全然苦労せずに出来たよ。魔力増えるって、良いね!」

「奥様のシャインは、熟練メイドですら敵わないかも知れない、ハイレベルなものだ。さすが生活魔導師」

「生活魔導士って何よー、あはは」


 アリアが明るく笑う。

 うん、やっぱりアリアは、こんな風にニコニコして、何でも笑い飛ばしてる方が良い。絶対良い!


「それでねシューッヘ、女神様から、『古代魔法の研究をしなさい』って言われちゃった。古代魔法、難しい?」

「古代魔法を? あー15,000倍って平気で古代魔法行ける量なんだね。難しいのも簡単なのもある、とにかく一杯ある」

「そうなんだ。古代魔法って言うとさー、空飛ぶ魔法が有名なのよ。アレ、あたしでも出来そう?」

「空飛ぶってと、多分[フライ]の魔法だと思うけど、基礎数10の結構重い魔法で、かつ制御が難しいって書いてあったな、そう言えば」

「基礎数10って、体感的にはどんな感じ? やっぱり疲れる?」

「今の俺だと、基礎数換算で20位までは、連続して発動は出来る。疲れずにやれるのは単発6までかなぁ。12までの範囲しか、本も読めてないから、それ以上のは俺も知らない」

「古代魔法の本って、あたしでも読めるかしら。もしかしてのもしかしてだけど、シューッヘが教えてくれたり……する?」

「それは構わないけど、最初の理論の部分は自分で身につけないと、古代魔法は発動出来ないから、そこだけは本にかじり付く必要があるよ」

「あーん、活字弱いのよねぇ……オーフェンで断片的に聞いたけど、凄いたくさん、分厚い本あるんでしょ? 耐えられるかなぁ」

「理論部分、原典で読むと難しいけど、入門書にもあるから、それで読めば良いと思うよ。結構簡単に理解出来る様に書いてあった覚えがある」

「あるんだ簡単なの! 良かったぁ、あたしでも何とかなるかも」


 アリアの笑顔はキラキラしている様に感じる。

 最近顔を見る度に陰鬱な雰囲気だったから、これは望ましい変化だ。


 とは言え……女神様の足下で生まれたアリアだから俺より縁が深いのかなぁ。俺も女神様の元に行ければ、結界も元に戻せるかも知れないのに。


 いや待てよ。最初から出来ない・行けないと決めつける必要は無いのかも知れない。


「ねぇアリア。俺が女神様のいる領域に行ける可能性はあると思う?」


 俺の問いかけに、アリアはシンプルに首を縦に振った。

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