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第二話

周囲からクソ王子に向かって罵声の声が飛ぶ。それを意に介さず、クソ王子は説明を続ける。


「とりあえず二人一組になってもらおう」


しかし、その言葉通りに動くものはいない。王子は若干苛ついた様子を見せ、手を叩いてどこかに合図した。すると、背後で何かが刺さる音がした。振り返ってみれば、後ろにいた男の額に矢が刺さっていた。


「さっさと行動しなければそいつみたいに殺す」


今度はみんな王子の言う通りに、二人一組を次々と作り出した。


「んん?」


そんな中で、私は一向に動かなかった。周囲の注目が私に集まる。


「おいおい貴様シンデレラァ。つまらない死に方をしようとしているのか? 僕は貴様が苦しんで、僕に謝り倒しながら死んでいくところが見たくてこのゲームに特別参加させてやったんだぞ」

「くっっっっだらない」


私は吐き捨てるようにそう言った。クソ王子を睨みつけながら、指を指す。


「お城での行動に飽き足らず、まだ付き纏ってくるだなんて。それに、無関係の人達を巻き込んで、その命を人質のように使うなんて。最低」


片方しかないガラスの靴を脱ぎ、手に持って画面の王子に突きつける。


「決めたわ。私はここを出て、このガラスの靴であんたをもう一度ぶん殴る」

「一度ならず二度もこの僕を侮辱する気か!!」


王子が画面外にあるであろう机を叩く。重い衝撃音が聞こえ、周囲の人間はびくりと体を震わせる。


「構わん! 殺せ!」


王子の言葉を合図に、背後から矢が飛んでくる。私はその矢を掴み取り、王子に見えるようにへし折った。

王子は顔をひしゃげさせて、私を画面越しに睨みつけている。


「あの、シンデレラ」

「何、今忙しいのが見て……」


声をかけられ、背後を振り返る。

するとそこには、夢にまで見たような王子様が立っていた。

すらりとした細身で長身。髪の毛は金髪で、腰まで伸びているのに綺麗に手入れされている。顔も芸術品と間違うほどに美形。それらの輝きには負けているが、装飾品として宝石などが服や腰の剣に散りばめられている。

夢から、絵画から飛び出してきたような。

電流。いや、ただ腰が抜けた。あまりにも理想的、あまりにも美形。そんな王子は、私の肩に手を置いた。


「すいませんあの王子が逆上して私達に手を出さないとは限らないので、ここは大人しくしてもらえませんか?」

「はい!」


私はすぐさまその場に座り込んだ。クソ王子は不服そうに舌打ちをすると、何かのボタンを押した。

頭上から鳥籠が降ってきて、私はイケメン王子と同じ鳥籠に閉じ込められる。


「貴様らは罪を犯した。この僕よりも顔がいいと言う評価を周囲から受けているという罪だ。そんな事実は微塵もないが、それに腹が立った。ので貴様らを死のゲームに招待することにした」


王子は小さなフリップを取り出し、画面いっぱいに見せつける。


「僕の用意したゲームに失敗した者はもちろん死ぬ。しかしきちんと生き残る術も用意されている。感謝しろ」


クソ王子はフリップを捲る。


「では早速第一ゲームだ。『不幸の青い鳥』を始める」


クソ王子がそう宣言すると、鳥籠の天井がゆっくりと降下してきた。

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