【リクエスト・ギャラリー】第16回 「銀華(シロハナ)」
「この作品、オススメですよ!」と教えてもらい、素敵な作品を堪能した後は、皆様にもご紹介なのです。
今回は短編ながらも、ギュッと幻想的な世界観が詰まったお話から、可愛いお嬢さんが遊びに来てくれました。
ふふふ、張り切って紹介していきますよ!
キャラクター名:「銀華」
作品名:『庭の公孫樹』
作者様名:黒森 冬炎様
【あらすじ】
鴨田鈴音は、数年ぶりに故郷の家を訪れた。
一族がみな引っ越してしまい、本家の屋敷も無人だ。庭にあった大銀杏は立ち枯れてしまっている。
根元に清酒を注いで手を合わせた鈴音は、荒れた庭で不思議な者たちと出会う。
◆◆◆
低いけれども、厳かな雰囲気を醸し出す叢雲山。山からは響きも雅な美澄川が流れ、町を蛇行しながらも滔々と情景を潤す。
そんな美しい情景描写から始まる本作は、鴨田鈴音が「既にない」実家へ里帰りする場面から始まります。酒米農家を生業としていた一族は既に、故郷から引き払ったあと。それでも、ノスタルジアの記憶の中で確かに生きていた、公孫樹の面影を探しに。
枯れてしまった「お爺ちゃん」……こと、庭の公孫樹に手向けの酒を注ぐ鈴音。しかし、ひょんなことから酒が「お守りの鈴」にかかってしまい、「冷たい」と反応するではありませんか。驚いた鈴音が「お爺ちゃん」を、見つめれば。そこに忽然と現れたのは、見たこともない少女で……?
少女の正体や、公孫樹にまつわるノスタルジアは是非に、作品を読んで浸って欲しいのでありまする。
なお、作者は作品の美しい描写も去る事ながら……諸事情により幻になった酒・雲純のお味が気になって仕方ありません。……イントネーションからして、きっとキリッと辛口に違いない。
と、変な方向に気もそぞろな作者なりに、忽然と現れた少女・銀華を描いていきますよ。
1)まず……作中のイメージを拾って、線画を仕上げてみますよ。
なお、お話の中で書かれている「銀華」の描写は以下の通り。
①黒いタフタのリボンを白いレースの花で留めた、青いフェルトの鍔広帽子
②濃紫にさえ見える黒髪、顔も手も病人然と青白く細い
③青地に大きな濃紺の桜が咲き乱れ、花に重ねた銀鼠の雪輪が可憐に踊る大振袖
④桃色に赤の花を散らした豪華な半襟、若葉色の伊達襟
⑤赤紫のウールで仕立てたケープ(胸元には大きな黒いシフォンベルベットのリボン)
⑥サイドの髪を抑えた暗緑色のベルベットリボン
⑦ケープと揃いの赤紫が華やかな洋傘
バストアップの構図内で、上記の内容をできるだけ再現できるように頑張ってみました。
2)ここからは色を塗っていきます。
作中には銀華ちゃんが「元気だった時」の回顧シーンもあるのですが、今回は鈴音さんの視点にある姿を基準にしました。
肌の色は「青白い」のを強調するため、グレー・ペールパープル、白で仕上げます。
3)「青いフェルト」の質感を醸し出すため、「ペルシャ猫」の回で紹介した「ふんわりした毛の塗り方」を応用します。
紫陽花色でクルクル。
青と青紫でもクルクル。
サックスブルーで馴染ませます。
影を整えつつ、「タフタの黒リボン」は艶感を潰さないように色を重ね、レースの花は白で仕上げます。
なお、タフタは「絹織物」なので、ほんの少し毛羽感も演出してみました。色を塗る前に消しゴムで紙自体も毛羽立てています。
4)次は髪の毛を塗っていきます。
設定は「黒髪」ですが、「濃紫」に見え、「色褪せている」とのことで、敢えて黒以外の色で「黒髪」の表現にチャレンジします。
まずは紫。
ネイビー(インディゴと漆紺2色)を混ぜ、灰色で馴染ませます。
5)この調子で、小説内の描写を参考にしながら、塗り進めていきます。
全部塗り終わって、完成……と思って、最終確認をしていたら、1箇所ミスをしていることに気づきました。
「桃色に赤の花を散らした豪華な半襟」……ドュフ! 赤と桃色、逆じゃーん!
6)はい、まだ手直しできたので、塗り直しました……。
今度こそ、完成なのでし!
なお、色にある程度のまとまりを出すため、今回は高彩度の色は極力使わず、「ペールトーン」と「ダルトーン」に近い色を中心に採択しています。とは言え、全部が全部ではないので、縛りは緩いんですけれども(汗)。
今回もご紹介のご縁もあり、素敵な作品を紹介できて大満足なのです。
さてさて。次のターゲットは、だーれかな〜?
突撃! クロネアタックが炸裂した時は、ご協力いただけると幸いなのです。




