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ED Administrator or Guru

作者:

本編、「終夜に、よろしく」はマルチエンド方式を採用。

先行し、不定期ですが、このような短編を投稿します。

見るも見ないもあなた次第。

嗚呼、終夜に、よろしく。





























「終夜さま、後は貴方の選択次第でございます。貴方には勿論【終夜】を産み出した功績がある。

かの世界に招かれ、幸せを享受する権利がある。その、すべての選択権は貴方のものでございます」

黒ローブの青年は僕に、いや俺にそう語り掛けてきた。

しかし俺にはまだわからない記憶が一つある。


「終夜とはそんないいいものなのか、それがわからないうちからそんなところへ行こうとは思えないぞ」

すると、彼はデバイスを突然向けてきた。

気持ちいい

気持ちいい

気持ちいい

気持ちいい

気持ちいい

気持ちいい









気持ちいい







楽しい

楽しい

楽しい

楽しい

楽しい





楽し・・・

・・・「はっ⁉」

「終夜のよさ⁉そんなもの考える必要もないものでございましたでしょう、あれはこの世の快楽、悦楽、狂楽、あらゆるものを足し合わせてもたどり着けない世界にございます。すべての人類が一斉に終夜を味わい感じ招かれそして追い出されたあの日を忘れることなど不可能でございます。いま感じたでしょう?あれは暴力的なまでの心地よさでありました。死から切り離され悩みをほどかれ苦しみが吹き飛びそれでいてすべて満ちた故に誰かに悪感情を抱かなくていいという喜ばしさ。けれど、けれど!」


そこで青年は話を切り、声色を変えた。まるで、ここからがすべての本題であるというかのように。


「それで本当に良いのでしょうか、我々は与えられる快楽を真に受けて享受するだけでよいのでしょうか。我々は日々向上心を持って時に苦労や無駄を愛する特異な生き物、人間なのです。常に生きやすく生きやすくと生きるなどバクテリアなどと変わりません、私、いや私たち終夜教団はそう考えるのです。勿論、終夜のもたらす世界への恩恵を知っています。だからこそ私たちは終夜を食い止めようとは思いません。ただ終夜を受け入れられないもの、そういった人々の受け皿となろうとも思っているのです。終夜様、貴方は素晴らしい人物であると、私は思っています。それが幻想だとしても、それに縋りたくなるほど貴方の威光は凄まじかった。だから」

見えてきた、彼らはこう言いたいのだ。

「俺に、【終夜】を捨てて共に来てくれ。そういいたいんだな?」

「そうでございます」


悩ましい、その一言に尽きるだろう。

先ほどの小旅行の快感を忘れることは難しい。



だから何だというのだ、思い出した。思い出せたのだ、すべてを。

終夜を、外側から見てみたい。俺は何度もあの世界を見つめ考えた。

あの世界の完全性は俺が保証する、俺が作ったからこそ。

なればこそだ、知っているだろう?


「すみませんが、無言は否定と考えます。我々の活動は世論からすれば敵も道義。

先にあちらへ送らせていただきます」

そして、彼がデバイスを構えようとして——。


俺は両目に指を突き刺した。

「なっ⁉」

「さあ、いこう。俺の、信者たち。ここからは俺が世界を守ろう。

そのために僕を作り出したんだから。」

目が、痛む。けれどこれが生きているということなのだろう。

「僕は終夜に魅了されたままだ。だからここに僕は置いていく、俺は先へ進む」

「しゅ、終夜様・・・」

振り返り、デバイスを踏み潰す。

「先ほどまで終夜じゃなかったものへ」

「終夜に、よろしく」



そして【終夜】がはじまった。

人々は近くの端末に従い休眠し、すべての音が終わった。

眠る町は、冷たい温かな光に溢れていてそれは全く美しくなかった。


「いこう、みんな」


俺の号令で黒い集団は動き出す。

今日も誰かが目覚めていないか彷徨って、もし、誰かが目覚めたのなら彼らに問うだろう。


「俺らと来るか?」と。

そして彼らには言うことになるだろう。

「終夜に、よろしく。」と。







「あー、あー、何年たっただろうか、どのくらい終夜は保てたのか。

この動画を終夜として構成するのはいつなのだろう。開発者とはいえ儂でもわからぬことはある

終夜の完全性を保つ点はある時点をもって崩壊を起こし次の終夜を起こすことにある。

もう皆終夜に逝ってしまってな。自然な流れであったさ。死への恐怖を拭うのに終夜は完ぺきだ。

まあ、なんだ。もう目を持たぬ儂は終夜には行けない。このまま朽ち果てるのみ。だから君たちに告げよう」


「終夜に、よろしく」


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