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冷凍庫の片隅で凍てついたジェラート

作者: John

何処にでもいるようなちょっとぽっちゃりしていて生え際が少し白くなっている中年女性。ベティ ストライプスもそんな女性の一人だった。42の時に結婚相談所で知り合った3つ年上のレオナルドと結婚した。結婚10年を迎え52歳を迎えたベティ。彼女は敬虔なカトリック教徒の両親という家庭に生まれ慎ましく奥ゆかしい女性だった。厳格な両親に育てられ聖書の教えを守り、人に手厚く誰からも愛される清廉潔白を絵に描いたような女性だった。災害時にはボランティアの炊き出しなどにも積極的に参加してリーダーシップを発揮して、地域の行事などでもパワフルな活躍をお披露目していた。夫のレオナルドも企業のグラフィックデザインを手掛ける職に就いていてクリエイティヴな感性の持ち主だった。そして、彼は自分の両親にもベティの両親にも献身的な態度で接し人にもやさしく人格者としても申し分の無い人物だった。傍から見たら二人は理想のパートナーだった。晩婚だったので子どもは授からなかったが二人はその分を埋め合わせるように自分の時間を有意義に過ごしていた。そんなベティにもレオナルドに対してフラストレーションを感じる事があった。それは、彼が夜に自分を求めてくれないというセックスレスの悩みだった。結婚当初は二人とも感情が高ぶりレオナルドはベティをほぼ毎晩のように欲していた。それは、盛りの付いた雄猿のようであった。だが、それも徐々に回数は減り遂に3年前から二人はセックスレスになってしまった。ベティは思う。私にもう魅力が無く無ったって事を彼は暗黙に示唆しているって事じゃないの。確かに、乳房は垂れてウエスト周りも6cm太くなったわ。だからって同じダブルのベッドに寝ている私に指一本触れないなんて。失礼な話じゃないの。かといってベティは自分で自分を慰めるという行為はある種の神への冒涜だとも思っていた。そんな破廉恥な事は私には無理。ましてや、不貞を働くなんてとんでもない。彼は善人であり、彼を裏切る行為なんてベティには想像もつかない事だった。それは、幼い頃から厳格に仕付けられた両親の教育が現在のベティを形成していたと言ってもいいだろう。ベティは悶々とした日々を送っていた。その悶々としたエネルギーを解放すべくベティはボランティアや地域の行事に積極的に参加していたのかもしれない。ベティは日本の女性用ランジェリーブランドのワコールのカタログを見ていた。この老舗ブランドのブラジャーとパンティは生地の肌触り、縫製や作りもしっかりしていてベティは自分でランジェリーを買うようになってからはワコールのブラジャーとパンティしか身に付けていなかった。しかし、ベティの奥ゆかしい人間性から男性を悩殺するような派手なお色気全開なランジェリーは買わずに、いつも地味な白やベージュのランジェリーばかり身に付けていた。ベティは思った。ランジェリーを官能的で彼を挑発するような悩殺必至な派手なものにしたら、彼は私に触れてくれるかしら?そして、やさしく愛撫してくれるかしら?これくらいなら神もお許しになって下さるわよね。アダムとイヴみたいに何もいちじくの葉で隠す訳じゃないものね。何処のランジェリーが人気があるのかしら?ベティは調べた。そして、数ある高級ランジェリーブランドの中からスペインのブラクリを選んだ。『セックス アンド ザ シティ』や雑誌のプレイボーイでも取り上げられたランジェリー。ちょっとお高いけどこれで彼が私に触れてくれるのならとベティの妄想は膨らんだ。ローズレッドの薔薇の刺繍が入ったブラジャーとパンティ、ライトバイオレットのフリルの付いたプラジャーとパンティのランジェリーを購入した。パンティはちょっと刺激的なTバック。1週間後。待ちに待ったランジェリーが届いた。一度ランジェリーを手洗いして箪笥に仕舞った。これで準備は万端だわ。そして、ベティは策略を実行に移した。22時半にレオナルドがベッドに入った。すぐさまベティは浴室に向かいシャワーを浴びて入念に身体を洗った。そして、ローズレッドの薔薇の刺繍が入ったブラジャーとTバックのパンティを着用し首元と手首にジルスチュアートを馴染ませる。大人のムスクの香りが彼をその気にさせてくれるはず。そして寝室の彼の下へ向かった。ランジェリー以外は一糸まとわぬ姿で。「あなた」ベティは恥じらいながら言った。レオナルドがベティに目をやる。「私、今夜は愛して欲しいの」ベティが口籠もりながら言った。すると、レオナルドはベティを傷つけるつもりは無かったが面倒臭そうに言った。「ごめんよ。疲れてるんだ。君、冷凍庫の片隅でコチコチになっている5年前に買ったトレンティのジェラートが眠っているの知っているかい?あれ、食べたいと思うかい?それじゃ、おやすみ」そう言ってレオナルドはベティに背を向けて、プっーーーと放屁した。この背信行為には、いつもは温厚なベティの逆鱗に触れた。首元に浮き上がる太く青い動脈。な、な、何よ、この態度。失礼しちゃうわね。今に見ていなさい。私が天罰を下してあげるから。5日後の夕食。ベティは奮発して特上のT-ボーン ステーキにガーリックスライスをふんだんに載せて、それとガーリックライスとサラダを準備した。「今夜は豪勢だね。このT-ボーンは美味しいよ」舌鼓を撃つレオナルド。「今夜は奮発したのよ。あ な た」ウインクするベティ。そして、22時半にベッドに入るレオナルド。浴室に向かうベティ。身体を入念に洗い清め、フリルの付いたライトバイオレットのブラジャーとTバックのパンティを装着する。ジルスチュアートの香りを身に纏い、夜間戦闘態勢完了。寝室に向かうベティ。「あ な た」ベティに目おやるレオナルド。怯む事なく、この日は髪をかきあげる悩殺ポーズを取りながら大胆に誘惑するベティ。「ごめんよ、今日も疲れているんだ。そのランジェリー似合うね。それじゃ、おやすみ」こう言ってレオナルドはまたベティに背を向けた。しかし、この日のベティはこの前の腹いせに仕返しを目論んでいた。いいタイミングで屁を催してきた。ベッドの向こうに周りレオナルドの顔面でブッーーーと放屁した。ガーリックが腸内で分解され悪臭を放った。「ウッ、ゴホッ、ゴホッ」むせ返るレオナルド。普段、奥ゆかしいベティもこの時は思った。いい気味だわ。もう一発、屁を催した。ここぞとばかりにベティは思いっきり放屁した。ぶっーーーーーー。あれ?お腹も下して無いのに肛門に冷たい液体のような物体の感触を感じた。「ウッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」再度むせ返るレオナルドを後にして浴室に走るベティ。パンティを脱いでTバックの細くなった部分を見る。映えるライトバイオレットのパンティに茶色の染みが出来ていた。ああ、どうしよう?彼に見られちゃったかしら?浴室の床にブラジャーのみで陰部をさらけ出したまま跪くベティ。ベティは胸の前で小さく十字を切った。このちょっとしたハプニングの脱糞は神が私にお下しになられた懲罰。「神よ、愛する夫えのこの侮蔑とも取れる行為、こんな私をお許しください」ベティはこうべを垂れて己の罪を贖った。

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