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転生吸血鬼は自由に生きたい  作者: かきごおり
4章 悪とは常に相対的なもの
79/420

運も実力の内ってどう思う?

さて、どうしたものか

粗方確認は済んだので、そろそろ動かねば

日和って時間だけが過ぎていくことは避けたい


「キャルシーさん、何かアイツらを倒すいい案はありますか?」

「う〜ん、正面突破!」

ニコッと元気に無謀な提案

駄目だなこりゃ

脊髄で返してるとしか思えない

私が安全な方法を考えないと


仮に暗殺するとしたらどうしようか

毒殺、爆殺辺りが安全かな

できるだけ接触する時間は減らしたい


まず、音がうるさいから爆殺は論外

直接奇襲も数が多いから難しい

殺れて四人だろう

毒殺も毒を盛る方法が無いから無理

はぁ…

八方塞がりだな

どうしたものか


悩んだ末、解決方法を探す為にこっそり倉庫を覗いてみることにした

いくら中が暗かろうと、吸血鬼の目ならば昼と変わらない

少々危険だが、正面突破よりはマシなはずだ


警戒を強め、敵が近付いたらすぐに撤退する心構えで、屋根から降りる

倉庫には窓が小さく少ないがちゃんとある

しかし、その全てに鍵がかかっていて、塞ぐように物が置いてある

頑張って隙間を探してみるが、中の様子が伺えるほどの大きさの隙間は見つからない


さてどうしようか

透視とかが使えれば、何とかなるのだろうが

試しに、目に魔力を集めて窓を強く見つめる

その先を見通すように意識して

だがまあ、十秒くらいやっていたが何も起こらない

そりゃそうだよね

これで透視が使えるようになれば苦労しない


すると、どこからともなく無機質な声が聞こえてくる


《『千里眼』を獲得しました》


え?

急にどうした?

唐突なご都合主義に驚きが隠せないんだが?

まあ、私の運が良かったってことで

運も実力の内だからね

実質、実力で獲得したようなものだよね

普段は真正面から否定してるけどね


四の五の言っていないで、早速使いますか

私は獲得したばかりの『千里眼』を使う

感覚としては、ついさっきまで私がしていた動作と大差ないだろう

とことん都合がいい


すると、煉瓦の壁がすぅと透けていき、元から壁なんて無かったかのように透明になる

お陰で倉庫の中の様子がハッキリ見える

どうやら拡大機能もあるようで、私が念じれば視点が前に進み、更に中の様子が鮮明に見える


倉庫の中には黒いローブを着た男たちが一定以上の感覚を開けて、思い思いの仕草をしていた

眠っていたり、髪を弄っていたり、本を読んでいたり

中にはいくつかのランタンが置かれていて、最低限の光源は確保しているらしい

それでも目が悪くなりそうだが


倉庫の中を更に観察する

黒ローブは照明代わりのランタンを一人一つ持っているようで、数にしてざっと二十人ほどいる

窓はやはり全て閉まっており、侵入できるような穴や亀裂も無い

入口は扉だけのようだ


欲しい情報は大体揃った

これ以上の収穫は無さそうなので、壁から顔を離し、倉庫の屋根上に戻る


「どうたった?」

「数は大体二十人くらいですかね」

「それは…、ちょっと厳しいね…」

状況を伝えると、キャルシーさんは渋い表情になる

まあ、要するに一人で十人相手しろという話なのだから、その反応も当然だ


う〜ん

やっぱ毒殺かなー

相手の力量すら分かっていないのに、圧倒的人数不利の状況で戦いを挑むのは無謀が過ぎる


でも、肝心の毒がなー

いくら私でも、人を殺せるほどの猛毒は持ち合わせていない

それに、『毒』なんていう曖昧なイメージでは魔力の効率が悪すぎる

恐らく、無駄に魔力を消費して終わるだけだろう


突破口を求めて、今度は屋根上から中を覗く

やはりランタンの光が真っ先に飛び込んでくるが、新たな発見は何もない

精々、頑張れば本の内容を盗み見れそうなことくらいだ


ん?

待てよ?

侵入口が無い倉庫の中にランタンがある

ということは…


不意に脳裏に浮かんだ考えは思いの外現実的で、試す価値はあるように思えた

珍しいこともあるもんだ

やっぱ私って本番に強いタイプってこと?


とりあえず方向性は定まった

ということで毒殺に決定!

そうと決まれば準備開始!


いくつもの失敗する未来が目に浮かぶが、成功がそれを掻き消し、不安を自信が覆い尽くす

どちらも私の悪い癖だ



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