話が脱線することってよくあるよね
「あのー、開放してくれませんか?」
ダメ元でお願いしてみる
「しません」
しかし、そんな希望はスッパリ切り捨てられた
まあそうなるよね
「さて、なぜこんな事をしたのかな?」
ギルドマスターが凄んでくる
でも、キャルシーさんの方が怖いので怯えたりはしない
なんだか煽りたくなってくる
だが、そんな事をすれば物凄く怒られるのでやらない
流石にそれくらいの良識はある
「昨日ゴミ箱を洗っていた時、疲れていたので、イタズラをしてストレスを発散させようとしたからです。ゴミ箱を開けた時のポカーンとした顔はとても面白かったです!」
あれは傑作だった
まさに鳩が豆鉄砲を喰らった顔と言うやつだった
しかも、開けたのが鷹の獣人さんなのだ
ギルドの影で笑い転げたね!
思い出しただけでも笑えそうだ!
そんな感じで思い切って開き直ってみると、ギルドマスターは呆れた様子で額に手を当てる
どうやら説得不可能だと思われたらしい
まあ、間違ってはいないが
「私も見たかったなー」
キャルシーさんがつぶやく
「お前は黙ってろ!」
「はい…」
そこにギルドマスターの厳しいお言葉
キャルシーさんはションボリした
耳としっぽもションボリ垂れ下がる
ウルも似たようになってる事があるな
分かりやすくて助かってます
「ギルドの迷惑とかは考えなかったのか?」
ギルドマスターが聞いてくる
「一応考えましたよ。だから中に入れるのをぬいぐるみにしましたし、中身も紙一枚に留めたじゃないですか。恵まれない子供たちにでも配ったらどうですか?」
私だってそれくらい考える
ゴミ箱の中をパンチが飛び出るやつにはしなかったし、ぬいぐるみの中身を黒ローブの遺灰にするのはやめた
「そういう事じゃないんだがな…。そもそもあんな暗号読めるわけないだろ……」
そう言われると、確かに日本語で書いた気が
字も学ばないとなー
「そういえば何の話をしていたんでしたっけ?」
私とギルドマスターが言い争っていると、キャルシーさんがポツリと言った
何で覚えてないんだ元凶
「たしか、王都に行ってくれって言う話だったと思いますよ」
「そういえばそうだったな」
三人は同時に話していた事を思い出した
実は皆さん記憶力無い?
暫く無言が続き、段々と空気が気まずくなってくる
「なんか、そんな話はどうでも良くなったな」
「「そうですねー」」
ギルドマスターの一言によって、集会(?)はなんとなーく終わった
この後、結局私は依頼を受け、キャルシーさんの同は許可された
私はウルとラナがいる宿に向かいながら思った
グダグダだったな!(元凶)
補足
「港街 シーウィル」
獣人国の西にある港街
獣人国に二つしかない港がある
漁業が盛ん
レナの現在地




