自分が自分じゃないってショックだよね(見た目)
ああー、だるい
なんで?
魔力がつきたから?
やること無いから?
多分両方
しっかし、魔力が無くなっただけでこうもダルくなるものなのか
いや〜、戦闘中とかに起きなくてよかったわ
予め体験しておくことで、予期せぬ事態に陥ることを防げる
耐性も付く
予防接種みたいなもんだ
……適当言ったな違うか
そういえば俺、まだ誰とも会ってないな
異世界人1号はどんな人だろう?
あるあるは美少女
森に迷い込んだ村娘とかたまたま通りかかった騎士とか
期待に胸を膨らませる
異世界は美人が多いと言うが、一体どこまでそうなのか
まあ、そんな都合のいいことは起こらないだろう
普通におっさんとか森で長い年月を生きた老婆とか
美少女よりよっぽど有り得る
それらの可能性の中で俺が最も推すのがゴブリン
テンプレだ
果たしてゴブリンは人なのか
亜人の扱いのときもあるし、人の扱いでも不思議ではない
結局、俺の認識次第なのだ
取り敢えず、それまで生き残らねぇとな
簡単に見積もって八方塞がりなんだよなぁ
ふっ
原生生物の鳴き声が楚の歌に聞こえてくる
無駄なことを考えて、身体のダルさが取れるのを待つ
ここから動くべきなのかすら分からない
そんな危険な状況だからこそ、万全の状態でないときに動いてはいけない
暇つぶしに袋を弄っていると、あることに気付く
中の暗闇に手を突っ込むと、何かが手に当たる感覚がする
ん?
まだ袋の中にまだ何か入ってるな
袋から出そうとするが、水中に落とした物のように、手から離れて流れていく
役に立つものだといいなー
いや、役に立つものであってくれ!
少しでも生存率を上げるために!
袋の中の手を懸命に動かして、その何かを掴む
小さな袋の中で大きく手を動かすというのは奇妙な感覚だ
その感触は薄めの板
何なのかはさっぱり分からない
自分の目で確かめるため、そのまま手を引きそれを暗闇の中から取り出す
手には豪勢で神聖な雰囲気を纏うな装飾が施された枠に、透き通ったガラスを嵌め込んだような物が握られていた
何だこれ?
豪華すぎて一瞬何か分からなかった
だが、落ち着いてみればよく分かる
これ、手鏡か?
霧が立ち込める森の中では、透き通った鏡も光を反射しない
手鏡であることは間違いようがないが、こんな高そうな見た目をしているのだ
特殊な効果が付いていてもおかしくない!
そういう時は、早速あれの出番だ
目と頭に意識を集中させ、物の隅々まで、その中身すら見通すほどの眼光を手鏡に向ける
そして、自分の心の中でそのスキルの名前を唱える
『鑑定』
『天の手鏡』
絶対に壊れず、曇らない鏡
天上の神が使っているとされる
芸術的価値、金銭的価値どぢらも非常に高い
副神からの贈り物
え
この鏡凄いやつじゃん
説明に天とか神とか入ってる時点でもう凄い
絶対と入っているものは大体強い
取り敢えず、自分を映してみる
そして、言葉を失った
整った顔立ち
艷やかな黒髪
白く滑らかな肌
紅の瞳
結論
めっちゃ美少女
大事なことなのでもう一度言う
めっちゃ美少女
俺ごときの語彙力では言い表せないくらいの美少女だ
語彙力消失した
身体全体がどうなっているかも気になったので、手鏡を木に立てかけ、その前に立つ
手鏡に映った姿は小さく、鏡自体も小さいので見ずらい
目を細めて手鏡を注視すると、今の俺の姿が見えてくる
だいたい十歳くらいかな
身長は145センチくらいだね
多分
目算とか信用できない
だが、目線は低い
違和感の正体はこれか
低いな〜
さて、身長はいい
慣れればいいだけだ
はあ~まじか
いやさ
ブスよりかはいいよ
だけどさー
……ねぇ?
よし!
気にしないことにしよう
自分の見た目とか普段は見えないのだ
気にしなければいい!
単純明快!
俺天才!
……はぁ
何故こういう考えに至ったかって?
ショックなのよ
いや〜
性別変わちゃったんだってことを再認識したわ
別にいいけどね?
男である必要性を感じないし
でも、長いこと男として生きてきたわけで
記憶無いだろって?
出来事を覚えてないだけで、生きてきたことは確かなのよ
何故か?
知るか!
それにしてもこの世界
神いるんだ〜
いい神様だといいな〜
悪神はやめてほしいな
喧嘩を売ったらしいので、慈悲なく殺されそうだし
まあ、考えても分からない
物語の序盤で世界観の考察とか無謀にもほどがある
よし
魔力が回復するまでさっき創ったスキルの練習をしていよう
暇だし
すること無いし