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転生吸血鬼は自由に生きたい  作者: かきごおり
3章 獣人の国=ケモナー天国
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人の外見に騙されてはいけない

「何ですか?人聞きの悪い」

突然意味の分からないこと言われたので、まずは反論して睨み返す

しかし、その獣人はそんな私の態度を鼻で笑い、余裕の笑みを浮かべる


「お前みたいな人族のガキがDランクなんてありえないだろ?どうせならもっとマシな嘘をつくんだな」

明らかに私を見下した態度を取る獣人

言い返したいのは山々だが、こういう輩は話が通じないと相場が決まっている

話が通じる相手なら、ここで私に突っかかったりしないだろう


猫耳お姉さ〜ん!

早く戻ってきて〜!

内心で助けを呼んでみるが、当然誰も来ない

どうやら、相手をするしかないようだ


それにしても、か弱い美少女(自分で言ってて恥ずかしい)が大の男に絡まれているのに、誰も止めに入らない

どうなっているのだろう

ここに善人はいないのかね

世も末だなー


他人事のように呟くことで、現実逃避を図るが、この程度で逃してくれるほど現実は甘くない

「おい、謝るなら早い方がいいぞ?俺だっていつまでも優しいままじゃないんだからな。あ?」

何も言わずに睨み続ける私が気に障ったのか、顔を近付けて顔を歪ませる


獣人の表情の変化は私には分かり辛いが、これは恐らく凄んでいるのだろう

というか、言葉は完全に脅しだし

この国には恫喝罪とか無いのかな?

あるなら今すぐ裁判所送りにできるんだけど


平和的解決法を考えてみるが、まあできるわけもなく、私は落胆する

一方、ウルとラナは既に臨戦態勢だ

あれ?

実はこっちを先に抑えるべき?

八方塞がりどころか四面楚歌だぞこれ

一旦落ち着こう?

ね?


視線で訴えかけてみるが、二人の視線は獣人に向かっているので、私の視線は伝わらない

平和的解決は無理そうである

はぁ…

やるしかないのかなぁ…


戦闘の先に待っているであろう憂鬱な出来事の数々を思い浮かべ、陰鬱な気分になる

だがまあ、嘆いてばかりではいられない

一応獣人に向けて『解析眼』を使ってみる




================================================================


個体名:タイラガ

種族:虎人族


状態:通常

筋力:434

耐性:393

俊敏:310

魔力:11


スキル

『槍術LV3』『剛力LV1』『物理耐性LV2』『威圧LV2』


称号

『Dランク冒険者』


================================================================


脳内に浮かんできた情報を精査し、どうでいいものは無視する

う〜ん

見た目の割にそこまで強くはないな

勿論、油断すれば負けるだろうが、あの赤竜の後だと本当に弱く見える

ボス戦の後の敵が弱く感じたり、重い物を運んだ後に少し重い物を運ぶと軽く感じたりするあれだ

こういうのにも何か名前が付いているのだろうか

こういう疑問をすぐに調べられないのは、この世界の不便なところだな

まあ、他の利点に比べれば些細なことだが


あ、そうだ

突然、良案を思い付く

「ラナ、あの人と戦ってくれば?」

ラナの実力を見るいい機会だ

それに、私は観戦に回れるので、問題が起こったときに対処しやすい

目立つことも多少は避けられる

相手の実力も丁度いいし、ラナなら殺しはしないだろうし

ということで、ラナには身代わりになってもらおう


期待を込めてラナを見ると、ラナもやる気に満ちた表情で私を見ていた

「分かりました。絶対勝ちます」

ラナはやる気のようだ

拒否されなくて良かった

拒否されたら、必然的に私が戦うことになってたからな


「ハッ、俺も舐められたもんだな。いいぜ。乗ってやるよ。ただし、俺が勝ったら、次はお前だからな」

「いいですよ」

一方、タイラガなる獣人はラナを完全に舐めていた

ラナに勝てること前提で話を進めているような雰囲気がある

むしろ、私に勝った後のことすら考えているかもしれない

さて皆さん、お忘れかもしれませんが、ラナは一応黒竜です

たとえ子供と言えど、舐めてかかることはできないのではないでしょうか


「おいお前、やるなら裏の模擬戦場だ。付いて来い」

そう言って、タイラガはギルドの裏口のようなところから外に出ていく

タイラガにも常識くらいはあったようだ

流石に周囲に被害が出るようなことはしないらしい

「分かりました」

ラナは即座に頷く

そして、二人は模擬戦場へ向かっていった


「うー」

すると、隣から可愛らしい唸り声が聞こえてくる

見れば、ウルが悔しそうな表情でタイラガの後ろ姿を睨んでいた

「どうしたの?」

「私があいつを倒したかったです」

「……あそう」

やっぱり血の気が多いなー

もう少し落ち着いてくれないかなー


「まあ、今回はラナに譲るってことで。機会は他にもあるだろうし」

「……分かってます」

今後のことを心配しつつウルを宥めると、ウルは渋々といった表情だが、しっかりと頷く

戦闘狂なところ以外はちゃんと良い子なんだけどなー


「じゃあ、私たちも行くわよ」

「はい!」

ウルの返事を聞いて、私たちもラナの後を追って、裏口の扉に向かった

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