定期的な確認は大事
これは止めないといけないやつでは?
そう思った私は2匹の竜の間に割って入った
それで何ができる?という疑問が浮かんできたときには、既に後戻りのできない位置まで出てきてしまっていた
いつまで経っても直らない悪い癖だ
二匹の竜の視線が私に向き、圧倒的な重圧感に心臓を押し潰されそうになる
しかし、気力を振り絞って声を上げる
ここで一番良くないのは何もしないことだ
「あのー!一旦やめませんか?状況の説明をお願いしたいんですが!」
すると、赤い竜の口控から漏れ出ていた炎が収まる
安堵したのも束の間、竜が声をかけてくる
「何のつもりだ。ニンゲン」
重厚感のある声が響くが、竜の口は動いていない
あれか
こいつ……脳内に直接……っ!
というやつか
そんなこともできるとは、流石竜である
それにしても人間と間違われるな〜
鑑定系のスキルを持ってないのかな
取り敢えず、私は事を荒立てないように配慮しつつ、会話をする
「ここを調査しに来たんです」
口からでまかせだ
そういう依頼はあったが私は受けられなかった
今思えば、なんでこんな危険がある可能性があったのに、私はこんな所までやって来てしまったのだろう?
後悔先に立たずだな…
私が返答をすると、竜は体内の魔力を高め始める
「そうか、ならば死ね!」
竜は私を威圧するように咆哮する
何たる理不尽!
この鬼!
悪魔!
あ
竜でした
とか言ってる場合じゃねぇな!
余裕など欠片もない死の間際でふざける私
なんでこんな性格になったのだろうか?
取りあえず『鑑定』
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種族:灼熱竜
LV5/80
状態:通常
筋力:3682
耐性:3653
俊敏:3296
魔力:3254
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わーお
ムカデの3倍だー
ん?
4倍か?
まあ、そんなことはどうでもいい
つまりは絶望的ってことだ
これが軽挙妄動の代償である
表にはできるだけそんな心境を出さないようにはしているが、軽い苦笑いだけは堪えきれなかった
ほんと、なんでこんなことになったんだろうか……
さて、味方になってくれそうな黒竜さんは……
私は一縷の望みをかけて、蹲って動かない黒竜を『鑑定』する
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種族:黒竜
LV43/60
状態:衰弱
筋力:1642
耐性:1632
俊敏:1496
魔力:1207
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あ、これは無理なやつだ
見かけ通り瀕死だね
助けは期待できなさそう
というか、ギルドで訊いた話だと黒竜はBランクらしいからこの灼熱竜はBランク上位かAランクということだよね
名前からして上位種っぽいし
私に国を滅ぼす化け物と戦えと?
それは勇者とかの仕事でしょ
こういうところに勇者が颯爽と駆けつけるべきでしょ
おーい
勇者ー
ここで美少女が助けを求めているぞー
職務放棄すんなー
まあ、仮に来ても軽く感謝して逃げるだけだがな
自分で言っててあれだが
クズやわー
自分のことを美少女とか
ないわー
出来心だったんです
すいません
はあ…
いい加減現実逃避はやめよう
勝てる方法を探さんとね
あるかどうかは怪しいところだけど
そう決意した瞬間、赤竜の腕に魔力が収束する
吸血鬼だからか、魔力という目に見えないものを感覚的に捉えることができるのだ
咄嗟に意識を切り替えて警戒すると、その魔力は腕から爪へと伝わっていく
そして、竜が腕を大きく振りかぶる
竜が何をしようとしているかを察した私は、竜が腕を振り下ろすのと同時に、その軌道を見極めて半歩横にずれる
すると、私の両脇を凄まじい風が通り抜けていく
その通り道に視線を向ければ、地面に三本の溝が出来ていた
「おわぁ…」
あまりの威力に声が漏れる
食らってたら死んでた
やっぱり、今からでも逃げようかな
「レナ様!」
後ろから必死な声がかけられる
そっちに視線を向ければ、ウルが今にも駆け出しそうだった
「ウル!来ないで!」
そう言い慌ててウルを止める
私の浅慮が招いた事態だ
ウルを巻き込んでたまるか
赤竜に視線を戻すと、身じろぎ一つせず、堂々たる態度で私を見ていた
「ニンゲンが我の一撃を耐えるとはな!簡単に死ねば良いものを!」
赤竜が少し苛立った様子を見せる
私からすれば非常に不味い
「ならばこれで骨すら残らず燃え尽きろ」
いきなり、赤竜の横に魔法陣が出現した
そこを中心にまた魔力が収束していく
これが噂の無詠唱ってやつですか!
実際に使われるとその強さがよく分かるわー
だってどんな魔法か分からないじゃ……ん?
これは炎の槍の魔法?
すると、赤竜が出した魔法陣から炎の槍が飛んできた
私は何の魔法か分かっていたので、身をひねることで間一髪避けることができた
私に当たらなかった炎の槍は、地面に突き刺さり、その周囲の地面を溶かす
そんなものを見てしまった私の心臓が、急速に鼓動を早める
「なんだと!?この我の攻撃をニンゲン如きが二度も躱すだと!?」
赤竜は初めて驚いた様子で目を見開く
竜の表情の変化を読み取る技能は無いので、赤竜の感情はよくわからないが、猛烈に嫌な予感がした
そして、その予感は間違っていなかった
「……許さんぞ。そんなことが許されるはずがない…。お前は我の逆鱗に触れた!我の業火によって、生まれてきたことを後悔するような苦しみを味わってから灰になるがいい!」
赤竜は本気で怒った様子を見せ、私に向かって魔法を乱射してくる
それ即ち和解の道の消滅であり、私の絶望である
あれは、槍
あれは、球
あれは、鎖か
様々な形をした炎が私に向かって飛来してくる
そのどれもこれもが高温で、横を通り過ぎただけでも、その熱気で肌が焼けるように感じる
炎は形によって、速度や範囲、着弾後の挙動が違っているので、一つ一つ最適な避け方が違う
それを回避できているのは、何故か私の頭に、竜が展開した魔法陣の意味が浮かんでくるからだ
それが無ければ、今頃丸焦げの焼死体だ
魔法陣はよく分からない文字(?)で、構成されており意味など全く分からないはずなのだが
なんかそんなスキルがあったっけ?
戦闘中なので危険だが私はステータスを開く事にした
その程度の余裕はまだあるので、今の内にと脳内に少しだ意識を向ける
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個体名:レナ
種族:シャドウヴァンパイア
LV12/40
状態:通常
筋力:322
耐性:294
俊敏:308
魔力:311
ユニークスキル
『創造』
スキル
『暗視LV10』『吸血LV5』『魔力感知LV5』『魔力操作LV7』『気配感知LV5』『隠密LV5』『鑑定LV4』『鑑定偽装LV6』『跳躍LV6』『気配遮断LV3』『暗殺LV2』『物理耐性LV4』『自己回復LV3』『思考加速LV3』『格闘LV10』『拳聖技LV2』『影魔法LV3』『闇魔法LV2』
オリジナルスキル
『能力譲渡』『言語理解』
称号
『中位吸血鬼』『魔物殺し』『神に喧嘩を売りし者』
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ん?
何か増えてね?




