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RPGはやり込みすぎると最終的には虚無感が残る

異世界で無双してたら変なスカウト受けたよ!

-あの時心から信じていた天啓とやらは悪魔の啓示と思って間違いないようだ。


序章


はじめまして諸君。異世界転生攻略部署PR担当のサメマルだ。

今回はせっかくPR大使という大役を仰せつかりこれから異世界転生をする、もしくは希望している諸君に対して言葉を残せるというのは私が全くPRをしたくないという点を除けば最高だ。

この部署に置いては個人の意見は基本的に無視されるので本当に些細な問題だ。

さて、話を戻そう。私がこの部署に配属されて5年が経ち、救った世界も5つを超えたが、5回の異世界転生を経て分かったことはこの部署に配属されることは地獄の始まりであることだけである。

しかし異世界転生がまるごとクソだ。ということでは決して無い。むしろ、チートを授かり天敵のいないジャングルを歩き回るような異世界転生は最初は最高である。

しかし、1歩間違えれば諸君らは地獄の門を喜んで開けるような愚行を犯してしまうだろう。そんなマヌケになりたくなければ是非ともこの後の話を心に留めておいて欲しい。

まぁ、いきなりこんなことを話されても身構えるだけであろう。まずは私がこの部署に配属された経緯について話そう。要するに私が初めて世界を救った時の話だ。

重ねて言うがこれから異世界転生をする諸君は心して聞いて欲しい。取り返しのつかないことになる前に……


「みんな!はじめまして!サメマルだよ!

…え!?テンションが変?このテンションは僕が異世界転生をしたばかりの時のテンションだよ!

この時はやる気と正義感に満ち溢れてたからこんな感じなんだね!じゃあさっそk」ボシュゥ


………………過去の自分を召喚してみたがこいつは酷い…

パンドラの箱を開けた方がまだいいものが出てくる。

しかし、落ち込んでもいられない。諸君らにこの悲惨な過去を当時の目線で感じてもらう。そのために私の黒歴史は必要不可欠だ。

しかし、呼び戻す前にひとりきり紹介だけはしておこう。あいつは自分語りが長くて鬱陶しいからな。それを避けるためにできる限り紹介しておこう…あんまり長く喋らせたくないし…


サメマル(16) 職業 勇者

趣味 人助け

所持スキル

※()内はランク

全能力強化(SS) スキル強奪(S) 物理攻撃自動反射(S) 瞬間移動(A)

……改めて見るとなんともキモイプロフィール画面だろう…

趣味に関してはもう目も当てられない。…正直召喚せずに済むならこのまま闇に葬りたい所だがそうもいかない。

ボンッ「はじめまして!sメゴァ!なにすんの未来の僕!自己紹介…

え?自己紹介は終わってるからマキで?いいの?本当に?…了解。じゃあ早速最初の世界について語っていくね!ちなみに僕自身の話だけど本当に聞かなくて平気?え?あぁ平気ですか…」

(勇者サメマル-前の世界での名前は狩野鮫丸。彼は心優しく正義感に溢れており、常に人の為に生きているような人間であった…そういった生き方の理由は彼の孤独な幼少期にあり…)オイ!自分語りすんなっつったろ!

「自分語りじゃないよ、プロローグだよ!必要でしょうが!」

要らねぇんだよ!ここどこだと思ってんだ!「小説家になろう」だぞ!?聞き飽きてんだよお前みたいな奴の話なんて!

「なんだと!?仮にも女神様から天啓を受けた勇者だぞ!充分選ばれしものだろう!」

お前の特別なとこなんて名前が変以外ねぇよ!

「なn」ボシュゥ…

ダメだこいつ…いや、自分なんだけどさ…

とりあえずプロローグとやらも飛ばしておこう。詳しく知りたい人は他の異世界転生モノを読んでくれ。だいたいあんな感じだ。また呼ぶけどプロローグは終わった体で進めていくからよろしく。

ボンッ「はじめまs(以下略」


さて、過去の自分よ、プロローグまではこっちで済ませたからさっさと魔王を倒してからの話をしてくれ。

「プロローグが魔王を倒したところまでっておかしくない?1番良いところなのに…まぁいいや!ちなみに魔王との決戦は話す?」

要らん。ちなみに仲間の話もすんなよ。

「えー!そんな!」

うるせぇ、また消したくなるからやめろ。もう読者も飽きてきてんだよ。

「じゃあしようがないね…じゃあ魔王を倒してからの話ね。」

あぁ、なるはやで頼むわ

「あれは僕が仲間との協力で魔王を倒した時、僕を旅へ導いてくれた女神様から旅に出る前以来の天啓をくれたんだ…」


「ハァ…ハァ…まさか魔王が6回も変身するとはね…奥の手の引き出しが尋常じゃなく多かった…でも何とか倒したぞ!」

(勇者サメマル…よくこの世界に平和をもたらしてくれましたね…)

「女神様!旅に出る前以来ですね!お久しぶりです!」

(それは置いといて…あなたは魔王を倒しました…しかし魔王を倒しても魔物はいなくなることはありません…この世界にはまだ困っている人が沢山います…しかし…彼らもなんとか自分一人で生きていけることはなんとかいけます…なんとかですが…そこであなたは選択することが出来ます…故郷に残してきたフィアンセと結婚して穏やかに過ごすか…ハーレムを作ったり魔王がいなくなった世界で無双したり好き放題するか…残った魔物を掃討し迷える人々を救済するか…ちなみに私のおすすめは最後です…)

「僕はハーレムが…」

(余談ですが困っている人々はけっこうギリギリで生きています…)

「ハーレムが良い…」

(けっこうじゃなくてめっちゃギリです…常にHP1桁生活です…)

「ハーレム…」

(よく見たらHPが小数点でした…半数近くがゾンビと区別がつきません…)

「……分かりました!世界を救います!」


「こうして僕は迷うことなく世界を救うことを決意しこの世から魔物を消すことを女神様に誓ったんだ。」

もうやだコイツ…

「ってことで僕の長い戦いはまた始まったんだ。世界から魔物を消すっていう事はステータスがカンストしてる僕でも長い時間がかかった…」

あれは大変だったな…

「魔物を生み出す歪みが世界各地にあったから封印しまくって、魔物を利用しようとしている悪人共を吊るして回って…あの時は黒い死神なんてアダ名がついたっけ…へへっ」

死神はだいたい黒いだろ。しかもあの時お前真っ黒い服ばっか着てたからバカにされて付けられたアダ名だぞそれ…

「…」

「…」

「マジ?」

自分を傷つけるのは悲しいな…

「そんな嘘は置いといて、まぁ魔物に関する物は全部燃やすか封印するかして世界から魔物を抹消することに成功したんだ。だいたい200年くらいかかったかな。途中で不老不死のスキルを獲得しといたおかげでなんとか成し遂げる事が出来たんだ!まぁ後半はほぼほぼ作業だったけどね。強くなりすぎたし、そもそも強い敵もいなかったから街に行って聞き込みして怪しい噂がある所に行って、焼くか封印するかして解決したらまた次の町へ…って感じだったね!瞬間移動を持ってなかったらもっと時間かかってたかも。とりあえずそんな事を200年ひたすら繰り返してたらいつの間にか魔物を見なくなってまた女神様から天啓が来たんだ。」

あの胡散臭いやつな


(勇者サメマルよ…よくやってくれました…あなたはこの世界に置けるトロフィーを全て獲得しました…まさに真の勇者…)

「トロフィー?」

(気にしないでください…)

「???」

(とりあえずこの世界における全ての驚異を取り除くというドM作業をよくぞやり遂げてくれました…そこであなたは選択することが出来ます…)

「ドMって言った今?」

(このままこの世界で無駄に生きるか…それとも私たちと共に他の世界を救うか…ちなみにおすすめは後者です…)

「無視したね!まぁいいや!今度こそハーレム…」

(この世界には脅威なんて残ってないからいるだけ損よ…)

「なんか口調変わった?」

(無駄に生きるつもり…?)

「女神様?」

(やることなんて無いわよ…まさに文字通りオワコン…ここでつまらない一生を終えるわよ…でも、私たちと共に他の世界を救う事はとてもやり甲斐があるわよ…)

「………………よく分からないけど、他の世界救う事にします!」

(では契約書にサインを…)

「えっ怖い」

(じゃなくてこの紙にそなたの名を書き記しなさい…後世伝わる英雄として記録したいのです…)

「なんだ!そんなことでいいなら!」サラサラ

(はい、では異世界転生攻略部署との正式契約となります。これからともに頑張りましょう!)

「え?」

突如眩しい光に包まれた



こうして奴隷契約が結ばれた。と

「いやー!まさかね!こんなことになるとは!」

で、それからどうなったんだっけ?

「えっとね!なんか汚いオフィスに立ってたね!いつの間にか!」

これから誰が喋ってるか分かるようにするぞ。



女神「はい、この度はご契約ありがとうございます。まずは業務の説明から…なんです?その目は?」

サメマル(過去)「状況がイマイチ飲み込めないんですが…」

女神「詳しくは先程サイン頂いた紙に載っているのでそちらでご確認を…」

サ「ていうかどこですかここ…」

女神「職場ですが。」

サ「何の?」

女神「攻略部署の」

サ「何で?」

女神「なんでと言われましても契約書にサインをいただいたからですが…」

いつの間にか手元にある契約書とやらに目を通すと事情が分かってきた


異世界転生攻略部署 契約書要約

この部署では異世界を攻略することを仕事としています。具体的には異世界においてのアイテムの全収集、全てのイベントの解放及びクリア、全武器、全スキルの確認もしくは獲得などを達成し、攻略率が99%以上に達した時点でノルマ達成となります。ノルマ達成時点でのプレイ時間、使用スキル、初期ステータスからの成長度、初期スキルのランクなどを加味して点数がつけられます。点数の詳しい採点基準については研修でご説明致します。尚、契約者には攻略の義務が発生し、攻略をするまでは基本的には途中での辞退はご遠慮下さい。


サ(このメガネをかけたバリバリのキャリアウーマンぽい人が今まで信じてた女神で、女神じゃないということは分かってきたぞ…スーツだし…)

女神(偽)「ということになります。なにかご質問は?」

サ「ノルマ達成するとどうなるんですか?」

女神(偽)「その世界はクリア済みとなり業務が1度終了します。その時異世界で何年過ごそうとこちらでは1年が経過するため1度世界を救ったら年末の休みが貰えます。」

サ「????」

女神(偽)「今は理解できないと思うので詳しくは研修で。」

サ「研修??」

女神(偽)「世界をもう一度救ってもらいます。ただし次は、ナビゲーションが常にONになります。」

サ「ナビゲーションって、もしかしてあの天啓のこと?」

女神(偽)「あぁ、あなたそんなこと言ってましたね笑」

(何だかとても嫌な予感だ…この後ろくなこと言わない予感がする…)

サ「辞退しても…」

悪魔(仮)「ダメです。説明を続けます。次はナビゲーション有の代わりに転生して最初に授かるスキルのランクはBランクとなります。」

サ「いや、あの…」

悪魔(暫定)「ただ、Bランクの中からはいくらでも選べるのでご安心を。」

サ「ちょっと待っ

悪魔(確定)「さっそく行きましょう。頑張ってください。」

そして再び眩しい光に包まれた


「ていうのが初めて攻略してから起こったことだね!」

あぁお疲れ様…

ボンッ

今見ても相当理不尽だったな。



…さて諸君、これはまだ序章にすぎない。本当の地獄はこれから始まるのだから…

次の世界の話は私の後ろに立っている悪魔が私がPR担当であることを継続させたらするとしよう。



余談だが、女神様は吊り目の美人でポニーテールだ。常にクールな雰囲気を漂わせていてスーツがビシッと決まっていて似合っている。今日も美しく麗しい彼女は…え?褒めても反省文は書かなきゃダメ?やっぱり悪魔で間違いないな。


犠牲者をこれ以上出さないためにもPR頑張ろうって気になってきたぞ…

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