第零話 プロローグ#出会い
あのクリスマスの夜。
僕は彼女に出会った。
去年の12月25日のクリスマス。
珍しく雪が降り積もり、ホワイトクリスマスとなった。
僕が、彼女と初めて会った日だ。
僕は、高校生で今年で2年生になった。親からは離れてもう独り暮しをしているのだけど、2年に上がる際、一人余計なのが着いてきた。妹だ。
なんでも親が言うには「危なっかしいから」と。
妹は、家事とかがあまり得意で無いから、独り暮しは大変だろうと危惧したらしい。
そこで、独り暮しを始めた兄の所に行って、独り暮しの練習をさせようと僕の所に送ったようだ。
一瞬、二人でいたら独り暮しにならないのでは?と思ったが、自分は此処に住んでいて言える立場ではないので、気にしなくなった。何しろ、僕が住んでいるのはアパートやマンションではなく一軒家だ。
親は結構なお金持ちで、しかも現在進行形で更に増えている。なんの仕事をしているかは聞いたが秘密とはぐらかされてしまった。だが、気になるのでせめて貰っている給料は幾らくらいか聞くと、教えては貰えたがその額は·····年に1000万円·····いや、ホントに何やってるんだ。息子の僕でさえ、世界を飛び回っているとしか知らないぞ。
まぁ、そんな理由でお金持ちなので、自分の息子が危険な目にあったりしないよう、防犯システムがきっちりした一軒家を、一括で僕の為に買ってくれたのだ。なので、妹がどうとか言える立場ではない。しかも、毎月少しは贅沢しても困らない程度の仕送りさえもしてくれるときている、親様々だ。
◇◆◇◆
その日は、その妹がクリスマスだからと(何がだからなのか分からないが)、ケーキが食べたいから買ってきてと駄々を捏ねたのでわざわざ有名な人気店へと、ケーキの買い出しに行って家に帰る途中だった。
「よし、ケーキも無事買えたし、他の物も買えて良かった。」
何せ、今日はクリスマスなのだ。お店側も商売チャンスとばかりに様々な商品を揃えたことで、何処に行っても人が光に集まる虫のようにいる。
その中で僕は必死に?買い物争奪戦に果敢(実は、近くに目を血走らせてプレゼント用商品を見ている人がいて、若干ビビってしまった...)に挑んだのである。ちょっと褒めて欲しいぐらいだ。
それから、買い物を終え、家に帰る途中だった。
辺りはもう真っ暗でところどころにある街灯を頼りに歩いていると。
『だれ……かぁ……、たす……けてく……れません……か。』
ぴとっ
え......。なに!幽霊!?…………。まぁ、もちろんそんなわけないよね!幽霊なんて存在しないもんね!!。目の前に長い髪の女の人が倒れながら呻いてるけど……。
よし、とりあえず道の端に避けて家に帰ろう。って、おい。そこの君今可哀想だろうと思っただろう?しかし、ちょっと考えてみて欲しい。こんな、夜の7時を回って暗い中、長い髪の女の人が呻きながら呟いてるんだぞ!?。普通、ホラーに弱い人なら一目散に逃げてるところを逃げずに、横を通って歩くってかなり勇気いると思うんだ。
「こ、こんばんは〜……。そして、さようなら〜、」
ガシッ
足を……ツカマレタ
「ビクッ……あ……あの〜、離して貰えません!?!?」
全身に鳥肌が立ちまくって、さらに、足が震えまくって動けない。え?なに?ここで殺されちゃうの??ホラーなグロッキーで人生終わっちゃうの!?。
『お腹が…お腹が、』
「え?」
『空きすぎて、死にそうです……』
「え?ただの行き倒れ??」
◇◆◇◆
『いや〜、ハムッ、ホント助かりましたですよ〜。ハムハムッ、もうちょっとで飢え死にする所でした。はむッ、モグモグ、』
目の前にゆうに5人前はあろうかという食べ物をポンポンお腹の中に入れているこの少女。
この少女の中に遠慮というものは無いのだろうか……。
『ほんっとに!たすかりました!いやー、もうちょっとで空腹で死んでしまうところでした。』
「うん、どういたしまして。でも、どうしてあんなところで行き倒れてたの?」
『アハハハ、ハ~、実はですね、』
「うん、実は?」
『覚えてないんですよ!全然全く!』
ズコッ
「いや普通はおぼえてるでしょ!覚えてなかったらやばいよ!?特に頭が!」
『んー、本当に何も覚えてないんですよね~。なんで私はあそこで行き倒れてたのでしょうか?分かります?あなた。』
「いやそれ、僕が知ってる方が恐怖を感じない?あと、あなたじゃなくて僕の名前は影成深我だよ。」
『フムフム、深我さんと言うのですか。あ、私の名前は瑠璃です、花崎瑠璃といいます。』
「んで、ホントに君はなんで倒れていたか分からないの?」
『分からないですね。』
これは困った。彼女はなんであんなところで倒れていたか知らないらしい。
あ、そう言えば。
「他のことは覚えてる?例えば、自分の家の場所とか。」
『はい、それはちゃんと覚えてますよ。あ!いけない、早く帰らないと怒られてしまいます!』
「え?」
『では!本当にありがとうございました。また、会いましょう!』
「ちょっ、まっ」
ドタドタドタ、ガチャン
行っちゃったなー。もう少し事情を聞こうと思ってたんだけど。
聞きたいって思った理由は間みたいなものかな。
彼女はここに招き入れてからずっと笑っていたけど何故か僕には彼女顔ががひどく思い詰めているような、悲しんでいるような感じがした。
気のせいだろうか?
「なんか、ハリケーンみたいな人だったね。おにぃちゃん。」
いやそこは台風っていようよ。どうやら僕の妹は、まだ中二病が直ってないみたいだ。
これが、花崎瑠璃との初めての出会いだ。しかし、この出会いから様々な事件に巻き込まれるとは思ってもみなかった。




