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寝違えて

左が向けない……。


吉岡さんが私の席を代わったのは、こうゆう事か…………私が聡の方を向くと、必然的に吉岡さんの方も向く事になる。正直…………今はどっちの顔も見たくない。だから左を向けない。いっそのこと寝違えて、右しか向けなくなればいいのに!と、思って居眠りしたら…………


本当に寝違えて…………左しか向けなくなった。地獄か!!


はぁ…………ナチュラルにため息が出ちゃう……。


吉岡さんと目が合うと、吉岡さんは優しく微笑む。そして、聡と目が合って聡が微笑むと、吉岡さんが聡の方を見る。きっと、聡の事を凄い目で見ているにちがいない。教室の、ここだけ修羅場だ。無言の修羅場!


私は頭を抱えた。いっその事、吉岡さんと付き合おうかな…………いやいや、いかん!それは完全に自暴自棄だ。ここで流されたら違う道へ進んでしまいそうだ……。


違う道…………そっか!他に彼氏を作ればいいんだ!そうすれば、聡も吉岡さんも諦めがつく!!


昼休みに、こっそり田中を呼んだ。

「田中、田中、合コンしよう!」

「はぁ?お前、木本と別れた?」

「そう、だから他に彼氏作ろうと思って。あ、これあの二人にはオフレコで。」

田中は動揺していた。

「二人?大野にも秘密か?」

「は?あ、愛理には秘密じゃなくて……聡と吉岡さんね。」

「何で吉岡?」

詳しくは言えない!!絶対言えない!!

「とにかく、今度の日曜暇な人でカラオケでも行こう!誘っておいて!よろしく!」


その事を愛理に話すと、意外にも真面目な顔でマジな事を言われた。

「ミア、あんた…………それって、木本を諦めるため?それで、本当に諦められるの?」


それは…………ちゃんと…………考えた事なかった。


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