悪魔?
そういえば……愛理が言っていた。
『女からは、色々複雑だから。』
『恨みか、本気かしなかない。』
「あはははは!嘘!嘘!恨んでる奴が直接渡しに来る事なんて、フツーありえないし!本気の奴なんて、もっとありえないよ!普通に受け取りなよ!ただの友チョコだよ!」
そう言って愛理は笑ってたけど…………いたよ!もっとありえない本気の奴がいたよ!
「えっと…………気持ちは嬉しいんだけど……。」
「私、性別も関係ないと思うの。誰とどう過ごすかでしょ?私、山下さんとずっと一緒にいたいの。」
ゴフッ!!なんか、3階からボディプレスくらった感じ!!この前のアドバイスはそうゆう意味!?そうゆう意味だったの!?
どうしよう……技かけたら余計好かれるだけだし。下手に返事しちゃったら付き合う事になっちゃうし……。どうしたらいいの!?八方塞がりだ……。
吉岡さん…………今までで一番…………まさかの史上最強だ……!!
「それに、木本君は、山下さんにはふさわしくないと思うの。私、お母さんに聞いたよ?……あ、あの人はお母さんじゃないのか。あの人相当山下さんの事に詳しかったから……。」
「中原さん?」
「そう、中原って人から聞いたんだけど…………」
あの人から何を聞いたの?
「木本君が、山下さんを殺そうとしたって。」
…………は……?聡が?私を?何それ、嘘でしょ?
「どうして中原さんがそんな事知ってるの?」
そんな事中原さんが知り得ない事なのに。
「だって、鍵についてたウサギのぬいぐるみに盗聴機埋め込んだって言ってたもの。」
そういえば…………あのウサギ、鞄につけてたのに、いつの間にか鍵についてた……。鍵と財布だけは…………私と一緒にあの部屋に……。
そこに、コンコンと体育倉庫の扉をノックする音が聞こえた。
2回……。シネ…………。死ね…………。
「もうやめて…………もうやめて!!」
やがて、そのノックは3回に変わった。
さ、と、る。
聡…………!!
私は必死で物をどかして、体育倉庫の戸を開けた。きっと、聡の顔を見れば……そんな事は嘘だって確信できる。
「聡!!」
そこにいたのは…………聡じゃなかった。
いつもの、天使のような笑顔の聡じゃなかった。…………誰?聡の皮を被った……悪魔?
『あの時の目はもう、王子様ではなかったよ。殺し屋みたいな目をしてた。ミアちゃんの為に、王子様ではいられなかったんだね。』
ゆたか君が、そう言っていた。
「吉岡さんから…………何を聞いたの?」
「聡…………?」
「…………何を聞いた?!」
聡らしくない、強い口調だった。
怖いよ……。怖い…………!!
私は聡から逃げた。全力で……走って逃げた。
あんな怖い聡…………嫌だよ!!




