爆弾
バレンタイン当日、基本的に聡はチョコを誰からも受け取らなかった。手慣れたもので、誰からかわからない下駄箱や机のチョコは落とし物として先生に届けた。それ…………どうなの?そして、すっごいこっちを見て来る。誰が見ても要求してるように見える……。
私は聡の視線を無視して、みんなにチョコを配った。
「田中これあげる。」
「おー!サンキュー!ってこれお前もらったやつ……?」
「いや、私が作った。友チョコってやつだよ。吉岡さんも。」
聡が僕には…………?という顔をしてきたから…………聡には、メモを1枚添えて渡した。
「友チョコだよ!」
『家の冷蔵庫にお姉さん達の分があるから寄って行って。』
愛理のアドバイス通り、家で一緒に食べる事にした。
よし、これで学校でのバレンタイン活動は終わり!!はい終了!!私もう関係ない~!
と、思っていたら…………
「山下さん!」
見知らぬ女子からお呼びがかかった。
愛理にこう言われていた。
「よく知らない女子からのチョコは受け取っちゃダメ。女からは、色々複雑だから。」
「複雑?」
「恨みか、本気かしなかないから。」
私は断った。すると、次から次へと女子に呼ばれた。ひぃいいいい~!!ヤバイ!チョコが全部爆弾に見えてきた…………爆弾魔のみんな、その爆弾早くしまって!そして、追いかけて来ないで~!
「山下さん、待って~!」
女が女に追いかけられるって…………私何か悪い事した?!
①王子様独り占め。
②気に入らない奴に技をかける。
③女子トイレでシメる。
十分してた!!とにかく逃げよう!!
「山下さん、こっち!」
「吉岡さん!」
私は吉岡さんに呼ばれて、二人で体育倉庫に逃げ込んだ。物を置いて外から開かないようにした。
その光景を後から冷静に見て…………嫌な予感がした…………。




