メンチカツサンド
「だから、忍法なんて使えないって……山下さん、忍法って何の事を言ってるの?」
「何だろうね?モテる方法とか、逆に隠れる方法とか?」
「おーい!置いてくぞ~!」
妹の遠足について来て妹置いて行くってどうゆう事?それでも実の兄なの?
「疲れたぁ……。」
「ちょっと、ミア大丈夫?」
「大丈夫。精神的に兄に体力削がれた。木本君も先に行っていいよ。」
田中君は兄に連れて行かれた。
「でも…………」
「むしろアイツらについて行って!行ってあの二人の行動を見張って!頼む!!」
そう言うと木本君は少し急いで先に行った。
「ね~ミア、ゆるたか探しに行かないの?」
「ちょっと…………バテちゃってそれどころじゃないかも。」
「荷物、持ってあげる。」
私のリュックを愛理が持ち上げると驚いていた。
「重っ!!何が入ってるの?」
「お弁当?重いからいいよ。自分で持つよ。」
「もうすぐお昼食べる所だから、持つよ。」
そう言ってさっと私の荷物を肩にかけた。
「愛理~!男前!私愛理と付き合いたい!」
「あーごめんね、もう彼氏いるわ。」
「知ってる!」
愛理……私の王子様!
山頂付近の広場に着くと、各々昼食の時間になった。そして、広場で兄達と合流した。
「ここの名物買って帰らないとな~!あれ食べたら弁当食えなくなるぞ?…………弁当?」
「お探しの物はこれでしょうかね?」
私は鞄から二人のお弁当を出した。
「あ…………ミア!あ、あは……あははははは…………」
何なの?その薄ら笑い!腹立つんですけど!?
「人の遠足についてきて、人が6時起きして作ったお弁当を忘れるって、どうゆう事?え?」
「愛してるよ!ミア!」
兄二人はお弁当を持って去って行った。
え……どこで食べるつもりですか?
「私、3人分のお弁当でめちゃくちゃ重かったんですけど!!」
私は兄達に叫んだ。
「ミア、それでバテてたんだ。3人分?え?じゃあ、ゆるたか分は?」
「いや、元々作ってないし。」
ゆたか君の周りには、お弁当を食べてもらおうと女子が集まって来た。
「いや、ここは彼女として手作り弁当渡さないと!私のお弁当あげようか?」
愛理……。そこまで応援してくれるなんて……。よし、ここはゆたか君にお弁当渡しに行こう!
「いいよ。私、途中で何か買うよ。これ、ゆたか君に渡して来る。」
なんか…………納得いかないけど、ゆたか君に自分のお弁当を渡した。
「これ、もしよかったら……。」
「これ、ミアちゃんの手作り?」
「うん、一応。じゃ、私班に戻るね。」
その後、売店に行った。売店は全部売り切れだった……。嘘でしょ……?マジなの!?今日はお菓子で我慢かぁ…………。
売店から戻ると、みんなの姿はなかった。先に下山したのかな?愛理から疲れたから先に帰るとメッセージが届いていた。きっと、たっちゃんと一緒に帰ったんだ。
お兄ちゃん達も先に降りたのかな?まぁいいや。とりあえず、山頂まで登って写真を撮った。
綺麗な風景だなぁ……
写真を撮ったらお腹が鳴った。あぁ……お腹空いたぁ……。最悪……。こんな事なら、ゆたか君にお弁当渡さなきゃ良かった。都合良く木に果物なってないかな~?あ、でも勝手に食べちゃダメか……。
木の下に座って、風景を眺めていたら、上から何かが落ちて来た。「うわっ!」
何?何これ?
「空からパンが降って来た!!しかもキャベツたっぷりメンチカツサンド!!なんてベストチョイス!」
上を見ると、木本君が木の上にいた。木に隠れるとかマジ忍者か?
「木本君!これ、くれるの?食べていいの?」
「これ以上食べられないし……持って帰るのも荷物だし…………」
「ありがとう!!いただきます!」
私がメンチカツサンドを食べていると、木本君は降りて来て私の隣に座った。
「ありがとう!ヤバい!これ、めっちゃ旨い!」
「すごい食べっぷり……なんか、野生動物に餌付けしてる気分。」
ガツガツしててすみませんね!腹ペコなもので!
「こんな美味しい物もらったら、野生動物じゃなくても、絶対なついて帰るわ~」
「山下さん、いくら空腹でも、知らない人に食べ物もらってついて行ったらダメだよ?」
「失礼な!ついて行かないよ!ちゃんとイカのおすし守ってるよ!」
良い子の基本、イカのおすし。行かない、乗せない、押さない、好きにならない、静かにする。…………ん?なんか違う?
「ソースついてる。」
木本君は私の頬についたソースを指で拭いてくれた。
「…………。」
私は思わず…………黙ってしまった。






