友達
あの後、吉岡さんとカフェでお茶をした。私は…………紅茶を眺めると、少しホッとして、思わず涙がこぼれた。
中原さんは、少し思い込みが激しいけど……悪い人じゃなかった。それなのに、私がしたことは正しかったの……?……わかんない。
私は吉岡さんに訳を話した。
「そうなんだ……。お母さんと血のつながりがないんだ。」
「そうなの……。」
「あの、今から言う事、気に障ったらごめんね。そんなに、血のつながりって大事かな?ミアちゃんにとっては大事なのはわかってるんだけど、私はね、私個人的意見だけど…………誰とどう血がつながってるとかじゃなくて、誰とどう過ごすかじゃない?」
吉岡さん……。
「むしろね、血のつながりに甘えて、ちゃんと向き合わなかったり、だらしない付き合い方をしてる人の方が沢山いると思う。山下さんは、何に後悔してるの?」
なんだろう…………何が納得いかないんだろう。
「もっと…………マシな伝え方があったかな?とか、しばらく娘を演じれば良かったかな?とか……色々考えちゃって。」
「じゃあ、恋愛だったら?恋人がダメだったら一生会えない?恋愛だって、他人同士のつながりでしょ?」
確かに…………ゆたか君とはお別れしたけど、友達のままだ。あ、友達……!親子にはなれないけど…………友達にはなれる!
「ごめん、吉岡さん!私先に出る!今日は話聞いてくれてありがとうね!凄く、凄く参考になったよ!」
私はカフェを出て、急いで中原さんのマンションへ向かった。
「どうしたの?息切らして……。」
「あの、中原さん、もしよかったら…………友達になりませんか?」
「え…………?」
中原さんは驚いていた。
「あの、私と一緒に常連さんになりませんか?店長のお店のランチ、美味しいですよ?」
その後、中原さんの家でお茶をごちそうになって、娘さんとの思い出や、娘さんへの想いを話してくれた。いつの間にか中原さんは、私の事を、ミアと呼ぶようになっていた。
私を産んだお母さんも……生きていればそう思ってくれたんだろうか?犬のゲージに入れるような人だから、わからないけど…………
嬉しそうに話す中原さんを見ていたら、何だか気持ちが落ち着いた。




