危険人物
「吉岡さんおはよ~!」
「お、……おはようございます。」
どうしよう…………完全に右隣の女子に恐れられている……。
それもそのはず…………最近、平和だなぁ~と思っていたけど…………それはおそらく、本当にヤバい人はいじめの対象にはならない。ヤバい人には触れてはいけない、関わってはいけない。そう感じさせるらしい。吉岡さんはきっとこう思ってるに違いない……。逃げ場がない!右側は壁、前後は見知らぬ男子、唯一女子の左隣は……危険人物。ここの危険人物に……教科書を見せてもらう心情といったら…………この世の終わりのような顔をしてた……。どうにか……普通に話してもらえないだろうか…………?でないと私は誰とも話ができない……。
それは何故か…………?聡とケンカ中だから。
昨日の放課後、聡の家に寄りたいと話をしたら…………
「なんでダメ?ミナさんとナミさんとミホちゃんに会いたいんだけど?」
「だから、家は見つかったら危ないから、しばらく出禁。」
「見つかったらって誰に?メンヘラ?」
私の予想では…………きっと、私と関係を切る事によって、私に危害が及ばないようにしているんじゃないかと思う。これじゃ、全然みんなと遊べない!
「大丈夫だよ!今度対決しても、今度は大外刈で倒すから。大丈夫!雅兄でいっぱい練習したから!」
私は聡に掴みかかって、足をかけようとした。
「今度は柔道……?ミアはどこへ向かってるの?何が大丈夫?もっと危機感を持たないとダメだよ!」
「危機感で息苦しくなるぐらいなら襲われた方がマシ!」
「ミア!とにかくしばらくは真っ直ぐ帰って!送って行くから!」
珍しく…………聡がキレた。なんか怖いし……。
それが原因で何だかムカついていた。ムカついたまま女子トイレに行くと…………吉岡さんがいじめられているように見えた。なんて所に居合わせてしまったんだろう……。




