暗号
学期が変わって、席替えのくじ引きをした。
「山下~!木本と隣だからっていちゃつくなよ~?」
「うるせ~!少しはいちゃつかせろ!」
「お前開き直んじゃねーよ!」
席替えで聡の隣になった。前の席には田中君がいた。右隣はおとなしそうな、あまりよく知らない女子だった。
私は、聡に向いて欲しい時は必ず、さ、と、る、シャーペンで三回机をコツコツ叩いた。すると、聡はこっちを向いて笑いかけてくれる。あ~幸せ!!天使の笑顔に癒される~!
すると、休み時間にそれがすぐにバレた。前の席の田中に。
「それ、何かの暗号か?」
「え?何でわかった?」
「三回は何となくわかるんだけど、2回と5回がわからん。」
それは聡にまだ言ってない言葉2回は、好き。5回は愛してる。田中にはわからないか~!この乙女心。
「2回は…………死ね?」
お前が死ね!!田中!!
「ミア、2回は絶対やめてね。」
「それ絶対違うから!」
「じゃあ、5回は何なの?」
田中は全部わかったような雰囲気で言った。
「それは、あれだろ?ぶち殺す!」
田中~!!お前をぶち殺す!!
「え~怖いな~5回もやめてね。」
「違うよ!絶対違うから!」
「ちょっと5回叩いてみろよ。」
これは、あ、い、し、て、る。
「ぶ、ち、こ、ろ、す。ほら、ピッタリ。」
「それさ、私にはその台詞がお似合いだと思ってる?絶対違うからね!聡!」
「うーん。でも、もうそれにしか聞こえて来ないよね……?」
ちょっと!せっかくの秘密の暗号が~!サトル、シネ、ブチコロスって…………
私が少し凹んでいると、移動教室の移動中、聡が耳元で言った。
「2回と5回は暗号じゃなくて、言葉で聞きたいな。」
「は……は?それって…………」
それって…………本当の意味がわかってるって事…………?それとも、マゾだから!?一体どっち?どっちの言葉を聞きたいの!?




