噂
冬休みも終わり、新学期が始まった。
「おはよ~!」
え…………!?
「聡…………首…………首の痣…………それ、キ………… 」
全てを言う前に口を塞がれた。聡はため息をついて言った。
「ミア、全然覚えてない?」
「もしかして、それ…………」
私が何かやらかしました?
「ミア、僕以外の男の前で絶対お酒飲まないで!いい?」
「どうして!?え……もしかして、何か粗相した?」
「危なかったよ……。」
何?聡、その遠い目は……
「え?危ない?そんな危ない事してた?」
「してたよ…………。理性が吹っ飛ぶかと思ったよ……。自我が崩壊する前に帰ったけど……。」
私…………何をしてた?
愛理にその事を話すと笑われた。
「あ~!ミアは酔うとキス魔になるからね~」
「なんで?愛理なんでそんな事知ってるの!?」
「あれ?覚えてない?ひな祭りの甘酒で酔っ払って、集まった全員のファーストキスを奪ったこの大悪党!」
相変わらず全然記憶にない……。
「ごめんなさい……もうお酒飲みません。」
「あははは!無理でしょ!甘酒で酔うレベルだもん!だから、そんなミアが自殺なんかするなんて信じられないんだけど?」
愛理……言ってないのに知ってるんだ。
「携帯無くしてたから連絡ないのは仕方がないとして…………」
「私自殺なんてしてないよ?」
「わかってるよ!でも、みんな噂してた。別れた腹いせに、木本の恋人の家で自殺しようとしたって。それで木本を取り戻そうとしたって。」
はぁ!?
「何それ?!」
「それを聞いて思ったんだけど、それ、完璧にメンヘラ女の仕返しだよね?」
愛理は断言した。
「どうしてそんな事わかるの?」
「だってそれ、メンヘラ女のやった事とほぼ同じだよ?まぁ、メンヘラの場合、木本ん家で木本を襲った後、自殺しようとしたって話だけど。」
そうなんだ…………それでメンヘラって言われるようになっちゃったんだ。なんか…………可哀想。
「…………それってさ、私、端から見たら、メンヘラって事だよね?」
「まぁ、少なからず怖いとは思われてるだろうね。まぁ、既にアマレスで怖いし!大して変わらないっしょ!」
そう言って愛理は笑っていた。




