どう説明する?
誰も…………いない。ただ…………何?私、自殺でもしようとした?腕には仰々しいほどの包帯が巻かれていた。頭がボーッとする。
とりあえず、トイレへ行くふりをして情報収集しよう!まるで、ダンジョンに迷いこんだみたいに、少しワクワクしていた。
ベッドを降りて、病室のドアを開けようとすると、急に眩暈に襲われた。何これ~?グラグラする~!何とかドアの外に出ると、声をかけられた。
「やだ、もう目が覚めたの?こうゆう時は遠慮なくナースコール押してね。まだ無理しないで、ベッドに戻って…………」
「トイレ…………行きたい。」
本当にトイレへ行きたいけど……クラクラする。
看護師さんの肩を借りて、トイレへ行って病室に帰ると、祐兄が病室にいた。
「ミア!目が覚めたのか?良かった……。」
祐兄の心配そうな顔…………初めてみた。そんな顔させて……ごめんね。
「隆兄が助けてくれたんだよね?」
「はぁ?助けたのは聡だろ?」
「聡?!あ!聡は?聡に連絡しなきゃ!祐兄携帯貸して!」
そう言って祐兄に近づこうとすると、フラフラする~!私はまた、ベッドに沈没した。
祐兄に何を訊いても、具体的には何も話してくれなかった。何?何で私はここにいるの?何で祐兄は何も教えてくれないの?
「このフラフラって何?」
「貧血だろうな。」
貧血のせい?
「輸血とかした?」
「多分な。」
多分ってどっちだよ?
「私、お腹空いたアルヨ。ご飯まだアルか?」
「いや、輸血しても性格変わらんだろ。しかもそれエセ中国人だし。」
じゃ、したんだ。輸血するほど大量出血?全然覚えて無いんだけど…………。
「今はゆっくり休めよ……。」
何なの!?
イライラした。フラフラしてベッドから出られないし、祐兄の様子がおかしいし、何も覚えてない。気持ちばかりが焦った。
「お願い。祐兄……。聡に電話させて。クリスマスイブ、行けなかった事謝りたい。」
「どうして行けなかったのか、どう説明するんだよ?」
「どうって…………」
本当の事を…………
産みの母の家で寝過ごしました。ゆたか君の家にいました。
これをどう…………説明しよう……。
そういえば、ゆたか君の家からどう帰ったっけ?




