マジないわ
結局こうなるよね。そりゃそうだ。
「嫌だよ……。絶対嫌!」
「その覚悟でついて来たんだよね?」
私は案の定、ゆたか君の部屋で押し倒されていた。
「そうだったんだけど…………やっぱりヤダ!ヤダヤダヤダ~!」
手足をばたつかせて、だだをこねてみた。
「だって、怖いもん!!…………初めてって、めちゃくちゃ痛いって話じゃん!」
「え?木本の家に泊まったんじゃないの?」
そう言うと、ゆたか君は腕を離して覆い被さるのをやめた。そして、二人とも起き上がった。
「泊まったけど?だから何?」
ゆたか君は混乱していた。
「だってさ、愛理なんて3日間は痛かったって……。」
「その情報は聞いて良かったのか……?」
え?聞きたくなかった?
「今日から3日って年末だよ?せっかくの冬休みにそんなの絶対嫌だよ!だから嫌!!」
「予定考慮して、やめる奴とかいると思ってんの?え?立場わかってる? 」
「ねぇ、テキサスクローバーホールドより痛い?ちょっと今からかけるから…………」
私はゆたか君の足を持とうとすると、怒られた。
「おい!技かけようとすんな!」
チッ!…………ダメか…………。
「そもそも、男の僕に聞いてどうすんの?痛くないようにするって言ったらすんの?」
「しない。」
「せんのか~い!」
ゆたか君が、痛くないようにする。そう言われて、少し考えた。
「…………いや、絶対痛いよね?痛くないとか嘘だよね?嘘じゃん!この嘘つき!」
「おい!やってもないのに嘘つき呼ばわりか!うわっムカついた!」
また、ゆたか君がこっちを向く前に、私はゆたか君に背を向けて膝を抱えて小さくなった。
「同じ傷つくなら…………やっぱり好きな人がいい。痛いわ、虚しいわ、結果後悔しかないとか…………マジで……ないわ…………。」
どんなに罵られても、どんなに冷たい目で見られても、聡に会いたい…………。隣にいるのが…………聡ならいいのに…………。聡のはずだったのに…………。どうして…………どうして…………?マジ…………ないわ……。
涙が…………止まらなかった。




