どうしたらいい?
辺りは真っ暗だった。急いで走っていると、橋の上で人とぶつかって、携帯を川に落とした。
「あーーーー!!」
最っ悪~!!
携帯が川に落ちた所を身を乗り出して見ていると、後ろから体を押された。
嘘…………!!
ボッシャーン!とマヌケな音がして、川に落ちた。あんまり高さもなく、適度に浅瀬で、どこも痛くはなかった。ただ…………とにかく12月の夜にずぶ濡れは寒い!!最悪だ~!!ドブ川臭いし、携帯みつからない~!!
うわぁトイレ行きたい!どうせ濡れてるし川に…………ダメだ!!それはなんか、一生悔やみそうだ!!もう携帯は諦めよう!!とにかくどこか…………上がれる所を探さないと!
聡…………ごめん。
まだ…………寒空の下で待ってるかな……?それとも…………怒って帰ったかな?睡眠薬盛られて、寝過ごして、ドブ川に落ちて、携帯なくして…………そんな言い訳…………信じる?
「ミアちゃん?」
え?…………どこからか声をかけられた。どこ?
「ここだよ!」
橋上からゆたか君が声をかけていた。
「どうしたの?真冬に川遊びはクレイジーだね!」
好きで川に入ってる訳じゃねーし!!
「それより上がれる所教えてくれない?」
「じゃあ、今からデートしてくれる?」
「今から?フツーに帰りたいよ!」
今からデートできるなら…………聡としたいし……。
「そっちの先行った所にはしごがあるよ。」
「サンキュー!」
やっと、川から上がったけど…………臭いし寒い……。そう思っていたら、ゆたか君が…………上着をかけてくれた。
「いい。汚れる。」
「この方が少しは暖かいでしょ?」
その優しさ…………身に染みる。濡れていて風が恐ろしくキツい。ありがたい。風が防げるだけ全然マシ…………。
「家、近くだからシャワー使う?」
「それ、行く訳ないよね?」
「いや、別に変な意味じゃなくて、それじゃ電車に乗れないよね?それに、家、今日家族普通にいるし。」
どうしよう…………。ここは絶対行かない方がいいに決まってるけど…………これ…………どうしたらいいんだろう……。




