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抜き打ち調査

気まずさ…………ハンパない。


私はアケミさんから何か聞きだせないかと隆兄とアケミさんの家へやって来た。


「コーヒーでも大丈夫?」

「あの…………本当にお構い無く。」

「すみません……。突然お邪魔してしまって。」

新婚家庭にアポなしで来るなんて…………非常識なのはわかってる。でも…………アケミさんの連絡先は知らないし、隆兄に言えば隆兄は家にいるだろうか、アケミさんから話は聞けないし……。

「ちょっとびっくりしたけど、大丈夫大丈夫。」

アケミさんはそう言って笑顔でコーヒーを入れてくれた。


「あの…………隆兄、今日遅いんですか?」

「いつもの時間に帰って来ると思うよ?もうすぐ…………」

「じゃあ……帰ります。」

アケミさんは私の反応に驚いていた。ブラコンって聞いてたのに、避けたらおかしいよね……。

「何か話したかったんじゃない?何か伝えておこうか?」

「いえ…………あ、でも…………じゃあ……1つ聞いてもいいですか?」

「何?」


せっかく来たんだから、ちゃんと訊いてみよう。

「あの、これ、隆兄には絶っ対、絶対に内緒にして欲しいんですけど…………」

「え……内緒?」

「もし、他に家庭がある人と付き合って、子供ができたら…………」

アケミさんの驚き様が凄かった。

「えぇ!?妊娠!?」

あ、声裏返った。そう言って、持っていたコーヒーカップを勢いよくテーブルに置いた。

「いや、あの、もしもの話なんですけど…………」

「あ~びっくりした~!隆に内緒ってそうゆう話なのかと思った……。」


まぁ、普通そう思うよね。あの……最後まで話聞いてもらえます?アケミさんは1人でブツブツ言っていた。

「相手が妻子持ちはまずいでしょ?でも高校生……高校生は余計まずいでしょ?……」


話はそっちじゃないの~!

「その子供が……愛人の子供を拾って来たら…………育てますか?」

その質問に、やっとアケミさんは私が何を聞きたいのか理解してくれた。

「ミアちゃん…………あの…………」

「隆兄には黙っててください。ショックで仕事辞めますよ。ソッコー無職になりますよ?」

「ちょっと……そんな脅し方って…………!私、その、難しい気持ちとかはよくわからないんだけど…………あの……あのね、私は…………自分の子供だって、ちゃんと育てられる自信ないと思う。誰の子だろうと、ちゃんと育てられる自信なんてないよ。だけど…………私だったら…………やってみるかも。やれるだけ、やってみるかもしれない。」


アケミさんの言葉に、何だか…………少し……少しだけ、救われた気がした。


「隆兄には、小姑が抜き打ち調査で来たって言っていいですよ~?」

「あれ?もしかして、本当は抜き打ち調査しに来たの?」

「あはははは!バレました?」


やっぱり…………来てみて良かった。


きっと大丈夫。安心した。アケミさんとなら、隆兄はきっと幸せだ。

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