表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/116

じゃない

今朝、あんなに気に入っていたおニューのエナメルのパンプスが、いつの間にか…………見るも無残な傷だらけの靴になっていた。これじゃ、爪先合わせられない…………。



お店の外に出ると、タクシーを捕まえようと通りで待っていた、アケミさんの両親を見かけた。


挨拶しなきゃ……と思っていたら…………話声が聞こえてしまった。

「一人で四人育てるなんて…………」

「なりふり構わないって感じ

だな。うちの会社にもいるよ。いい年して必死で働くバツイチキャリアウーマン。」

「あなた、そんな言い方失礼よ。」

ママをそんな…………許せない。我慢だ…………隆兄の為にも、ここは我慢だ。


ママは…………こんな風に……会社で想像もつかない悪口言われて働いて来たのかな?ママは私を苦労して育ててくれた。それはわかってる。わかってるけど…………それなのに…………ママとは血が繋がってない?そんなのヤダよ……。



私はいつの間にか、木本家に足が向いていた。

「ミア?どうしたの?その格好?あ、今日顔合わせ?」

「…………うん。」

玄関で聡が出迎えてくれた。話したい事が沢山あった。何から話していいかわからない。でも、聡に会って…………何故か…………何も話せなかった。


…………わかった。


どうして、この前、何が納得いかなかったのか…………やっとわかった。


もし、私がメンヘラになったら…………聡は私の事を嫌いになる。


この先、自分に辛いことがあっても、私は…………聡にこうやって……何も話せない。あんな冷たい目で見られるくらいなら…………何も言わない方がマシだ。


私は笑顔で言った。

「うんん。何でもない。聡の顔見たら…………なんか安心した。」

「大丈夫?疲れた顔してる。」

「うん…………疲れたから…………帰るね。」


聡は…………やっと見つけた、片方の靴下じゃない?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ