納得いかない
そこへ、聡が探しに来てくれた。
「あ…………。」
運悪く…………私は女の子に技をかけている最中だった。私は、女の子を肩に抱えていた。
「そろそろ寒いから…………人間マフラー!なんつって!…………テヘペロッ!」
自分で言ってて…………寒い!!わかってるよ!!わかってるけど、他に誤魔化しようがないし!!
「本当の技名は?」
いや、今それ……聞きたい?
「バックブリーカー……です。」
「プロレス技は封印するって言ってなかった?」
「あ、うん、そうなんだけど、可愛い女の子だからつい……あ、ごめんね!すぐ降ろすね。」
そう言って女の子を降ろすと、女の子は走って逃げて行った。
「ミア……。」
「いや、あの、床が硬いからね、投げ技はダメかなぁって…………」
絶対怒られる!!…………と思ったら…………
聡は、私を抱き締めた。
「本当に…………本当にミアが刺されるんじゃないかと思って心配したんだよ?」
「聡、苦しいよ。」
ベアハッグなんじゃないかと思うくらい、聡は私を強く抱き締めた。
「ねぇ、メンヘラって、そんなにしょっちゅう刺すもんなの?」
「いや、そんな、夏場の蚊じゃないんだから……。まぁ…………蚊にさされたと思えばいいか。」
「あ、首…………」
聡は首に手を伸ばした。私はさっきの事があって少し嫌だった。
「あ、ごめん。くすぐったくて。」
拒否に…………気づかれてないよね?
「ペンキ?赤いから一瞬返り血かと思ったよ。」
「返り血って!そんなに戦ってないよ!」
「でもあの子血出てたよね?何された?何かされたよね?言わなきゃちゅーするよ?今すぐ!今すぐ答えて。」
こ、怖いよ聡~!
「わかった!言うよ言うから!」
「ちゅーされたくないんだ……。」
自分で脅しといて凹むな!!
「首…………絞められました。」
「やっぱり……。これから先、何かされたら絶対に教えて。絶対に。」
「やった事は聞かないの?」
「見たらなんとなくわかるよ。カウンターとバックブリーカーでしょ?」
絶対私がやったと思ってる……。
「グーで殴ってない!殴ってないから!」
「え…………じゃあ…………エルボー?」
「肘でもないよ!」
聡、プロレス勉強した?
「平手チョップ?」
「膝が当たっちゃったの!」
「ボマイェか~!」
もう…………
「聡、私の事なんだと思ってるの?」
「え…………ストリートレスラー?」
ひどい…………女子なのに…………
「ひどいよ!」
「ミアだって僕の事変態王子って言ってたよね?変態は自覚あるけど、王子って何?僕、もう王子やめたんだよね。」
そっち?気にしてるの王子の方?ってゆうか、変態の自覚あんのかーい!
「あのさ、私、あの子と話てみたんだけど、何だか可哀想な子なだけな気がするんだけど…………」
聡は、その一言に嫌な顔をした。
「それって、あっちが可哀想だから、僕が悪者だって言ってる?」
「そうは言ってないよ!誰が悪いとかじゃなくて…………そんなに冷たくしなくても…………」
「冷たくはしてないよ。してないから…………あの人はずっとああゆう感じなんだよ。」
聡は……見たこともない冷たい目をして言った。それは…………何だか…………見たくなかった。そんな、冷たい聡は……見たくなかった。聡の闇の部分を見た感じ……。
聡が悪いとは思わない。だけど…………わからない。わからないけど…………何だか納得いかない。私は、聡の…………何がどう納得いかないんだろう?




