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幼い記憶

やっぱりないかぁ……。

「何探してんだ?」

「絵本。綺麗な挿し絵のね、お姫様と王子様の絵本なの。雅兄、知らない?」

「そんなの家にあったか?俺見たことないぞ?」

そう言って雅兄は手伝ってもくれず、部屋を出て行ってしまった。


でも、私はしっかり覚えてるんだけどなぁ~?私が押し入れを探しているとたまたま隆兄が通りかかった。

「どうした?」

「あ、隆兄!小さい頃の、お姫様と王子様の絵本知ってる?」

「小さい頃って…………それ、いつの記憶だ?」

小さい頃の記憶があんまりなくて、どのくらいなのかはわからないけど……

「う~ん。4歳?5歳?くらいかな?どうして?」

「いや?幼稚園から借りた絵本だったんじゃないか?」

幼稚園……うちにはない本だった?あんなに気に入って見てたのに?

「そうなのかな~?外装とかは全然覚えてないんだけど、絵本の挿し絵が本当に綺麗で、お姫様と王子様が…………」


「今さらそれが何なんだ?」

隆兄が少し……少しだけ強い口調で言った。

「……いや、別に。少し気になっただけだけど……。どうしたの?隆兄?」


仕事でストレス溜まってるのかな?そんな事でイラつくなんて隆兄らしくない。

「隆兄大丈夫?ちゃんと息抜きできてる?」

「大丈夫だ。」

「隆兄は昔から息抜きが下手だから、アケミさんに会っていっぱい癒してもらいなよ~?」


こうゆう時はアケミさんがいてくれて良かった。きっと家族の前では父親がわりでいなきゃいけないから、アケミさんの前では羽を伸ばして欲しいな~。

「本当に…………ミアより先に結婚して大丈夫か?」

「何?男なのにマリッジブルー?大丈夫だよ~!うちにはまだ祐也と雅也が売れ残ってるんで!」

「そうだな……。」


それでも隆兄は浮かない顔をしていた。こうゆう時、隆兄には心配をかけると、自分自身を鼓舞する所がある。

「何?それとも高校生のうちにデキ婚して欲しい?」

「バカ!それは絶対に許さん!そんな事になったら聡を消す!!」

殺すって言わない所が逆に怖いよ……。


「ならないから!絶対ならないって!ほら、私技かけちゃうし。この前ね、聡に卍固め試してみたんだよ?全然力入れてないのにね、痛い痛いって言ってて全然できなかったんだよ~?」

私が、その様子を隆兄に説明すると、隆兄は少し笑って話を聞いてくれた。


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