表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/116

最後の日

今日は、とうとう最後のバイトの日。


何だか寂しいなぁ…………毎日のように顔を合わせていた店長とも、もう会えなくなるんだなぁ……。次は店長とミナさんの結婚式に呼んでもらおう。


「店長、今日までお世話になりました!」

「無事、最終日までご苦労様~!これでやっと、山下にぶっ殺されずに済むよ~いや~お疲れ様~!」

「ちょっと待ってください。隆兄の事知ってるんですか?」

店長、私の事元々知ってたんだ……。どうりで!やけに隆兄の許可がすんなり降りたと思ったら……。


「あれ?全然覚えてない?僕、小学生の時尖ってたから、山下兄妹がシスコンだってからかった事があるんだよ。」

少し覚えてる。確か、私がからかわれて泣いていたら、隆兄がボコボコにした子がいた。それが店長……?

「あの時、生まれて初めて恐怖を感じたなぁ……。」

そんな……小学生の時からマフィアみたいな…………


「その後、うちに謝りに来た時になんて言ったか知ってる?すっげー真顔で、『シスコンと言われようが、気持ち悪いと言われようが、妹を泣かす奴は誰だろうと絶対に許さない。』あいつ、あの頃から覚悟決まってるみたいな所あるよなぁ……。今でもシスコン?」

「そうですね。ミナさんじゃなくて、私に手ぇ出してたら…………ちょっと……血を見てたかもしれないですね……。」

「怖っ!今鳥肌立った!妹がその反応すると、リアルに怖いからやめよう?」


本当は、あの時の事謝りたかったって、後から店長は言った。


「あ、いらっしゃいませ~!」

常連さんとも…………こうして顔を合わせるのも今日で終わりなんだ……。

「いつものを。」

「はい。かしこまりました。」


私は最後のアイスに、トッピングにウエハースを追加した。

「はい、どうぞ。」

「あの、これいつもと違う……。」

「あ、私今日で最後なので、サービスしました。」

気に入ってもらえるといいけど……。

「え?最後なんですか……?」

「ウエハース嫌いでしたか?」

「いえ、好きです。ありがとう。」

常連さんはアイスを受けとると、訊いてきた。

「どうしてここ、辞めるんですか?」

「ああ、ここ自体が夏の間の期間限定の出店なんです。私も夏休みの間だけやるつもりだったので。」

そっか…………突然アイス屋なくなったら残念だよね。


「あの、こんな事訊いてもいいかどうかわからないけど…………あの、どうしてアルバイトを?」

ん?どうしてそんな事聞くんだろう?

「これ、まだ誰にも言ってないんですけど、一番上の兄が結婚しそうなんです。だから、結婚祝いに何かあげたくて。」

「そう…………。」

常連さんは納得いった顔をしていた。そこへ、聡が来た。


「あ、聡!いらっしゃいませ。」

「あら、彼氏さん?」

「こんにちは。」

聡は常連さんに挨拶した。

「どちら様?」

「こちら、毎日来てくれてた常連さん。」

常連さんは、聡を見て少し笑顔を見せて言った。

「どうも。…………絵本の挿し絵みたいな王子様ね。」

「あはははは!良かったね。王子様だって。」

「薄ら寒いから、嬉しくないなぁ……。」

『王子様とか薄ら寒い』と言った事、完全に根に持ってる……。

「だからごめんって!」


絵本の挿し絵かぁ…………そういえば、小さい頃、綺麗な挿し絵のお姫様と王子様に憧れたなぁ…………あの絵本どうしたっけ?帰ったら探してみよう。


「そういえば、二人で夏休みどこにも出かけてないよね?」

「そ、それってまさか…………で……で……で……」

もしかして、デートのお誘い?

「電車に乗りたいの?」

「ちがーう!いや、わかるよね?」

「え?デート、嬉しい?」

こんの……小悪魔~!


「じゃあ、隆兄の結婚祝い選ぶの付き合ってよ。」

「本当にお兄さん好きだね……。なんか、妬けてくるよ。」

いやいや、聡だって……。

「聡だってお姉さん達好きでしょ?」

「いや……大事には思ってるけど、別にそんなにだよ?」


おかしいかもしれないけど、やっぱりお兄ちゃん達と聡とは、まだ優先順位が違う。

「まぁ、下剋上が起こるかどうかは聡次第だね。」


あれ?常連さん、アイス残ってるのに…………帰っちゃったのかな?

テーブルには溶けかけのアイスと刺さったままのスプーンが置かれたままだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ