嫉妬?
やってしまった…………!!やっぱりと言うか……みんなとはぐれた!!
「そこのお嬢さん!」
そう、声をかけられて振り返ると、そこには…………見慣れたアイスクリーム屋の車があった。
「店長!今日はここで出店ですか?」
「うん、元々宣伝兼ねての販売カーだからね~!」
確かに花火大会はなかなか宣伝になりそう。
「じゃあ、元々花火大会にデートできないじゃないですか!」
「あーまぁ、そうなんだけどさ、出店止めようかと思ってたんだけど、結局断られたから店出したんだ。」
それって…………それが理由で断られてるんじゃ……。仕事ほっぽりだしてデートは、ミナさん絶対許さなそう……。
「やっぱりここにいた!」
そこへミナさんと雅兄がやって来た。
「ミア、お兄さんが心配してたよ?」
「祐兄、ミアいた!大丈夫だよ。全然無事だよ。」
雅兄は私をみつけるとすぐに祐兄に連絡を入れた。
ミナさんがいるのに、店長が仕事じゃデートができない。誰か仕事を代われば…………じゃあ、私が代わろう!私は浴衣の裾を帯につめて、エプロンをつけた。
「店長、私店番代わります!その間、ミナさんと花火見て来てください。」
「え?でも、せっかく浴衣着てるし、ミアちゃんこそデートじゃないの?」
「…………チッ……!」
私は思わず舌打ちをしていた。
店長、貴方……今一番訊いてはいけない事を訊きましたね?
「私、今日デートじゃないんですよ~!」
私はみんなに聞こえる大きな声で言った。
「ストックはいつもの所ですよね?何かあったら連絡します。」
「雅兄暇でしょ?女の子ナンパしていいから手伝って!」
そう言って、ミナさんと二人にして送り出した。
しばらく店番をしていると、浴衣姿の男の子がすれ違って、やっぱり…………気になった。
「そういえば、祐兄は?」
「菜々美とゲームの話してたんだけど、途中から話について行けなくなったから、置いてきた。美波さんが心当たりがあるって言うからついて来たんだけど……ここの店長彼氏?」
「彼氏になる予定かな?」
本当は祐兄の事を訊きたかった訳じゃない。祐兄と一緒にいる、聡の事が訊きたかった。
「あ、はーい。バニラ2つね~!バニラ2つ~!君達可愛いね~!いくつ~?」
コラ雅也!本当にナンパしてんじゃないよ!!
花火大会も終わり、片付けをしている途中、帰宅する人混みの中で聡の姿を見つけた。女の子に囲まれていた。そっか…………そうだよね。
うわ…………なんか…………ムカつく……。これ、嫉妬?嫉妬なの?
浴衣を着ていなかったら、多分…………確実に技を決めてた。すぐそこにいた雅兄に。それぐらいイラついた。




