呪いの墓
木本家で花火大会の話をしたら、ミナさんに、ついでに着付けてあげるよ!と言われた。
木本家は毎年浴衣を来て姉妹で行っているらしい。
「あの、今年は…………」
ホナちゃんが申し訳なさそうに、彼氏と行きたいと言いたそうにしていた。
「え~!ホナの付き添いじゃなきゃ行く気しな~い!」
だったらミナさん店長と行ってあげて~!
「え、ミナちゃん行かないの?じゃあ私も行かない。」
ナミさんも~?じゃあ…………
聡は…………今日も家にいなかった。まさか、また山下家にいるのかな?あれから一度も会えてない。…………もしかして、避けられてる?そりゃそうか…………キスしたらコブラツイストって……聡にとってトラウマかな?嫌われても仕方ないよね……。
って事は…………告白は玉砕覚悟かぁ……。
「あの、ミナさん、ナミさん、ホナちゃん……。」
「ど、どうしたの?」
「聡にフラれても、ここに来ていいですか?」
気持ち的に、ここに来れるかどうかわからないけど……。
「…………はぁ?ど、どうゆう事?」
「花火大会で、告白しようと思います!」
「おお!とうとう!!」
今度こそ、本当の彼氏彼女になりたい!
「あれ~?ミア来てるの?」
そこへ、ハルちゃんがリビングに入って来た。
「ハルちゃんこんにちは~!」
「よ!ミア!」
何故か離れた場所で挨拶するハルちゃん……。
「いや、近づいても技かけたりしないよ!人の事何だと思ってんの?」
そんな、とって食いやしないよ!
「私が見境なく技かけると思ってんの?プロレスラーじゃないんだよ?」
「普通のプロレスラー、見境なく技かけたりしないでしょ。」
ホナちゃんの冷静なツッコミを聞くと、ハルちゃんは少し近づいて言った。
「いやぁ、先輩にこの話したら、命知らずだって笑われた~!」
命知らず…………?
「待て、ハル。少し黙ろうか?」
ミナさんがハルちゃんを止めようとしたけど、私は訊いた。
「命知らずって、どうゆう事?」
「山下の妹に手を出した奴が無事でいた事がないって。ミアはファラオの墓なんだってよ~!」
ファラオの墓…………?
「開けようとすると、その呪いで死ぬって言われてるアレだよ!」
どうやら…………私は聡をクリスタルスカルだと思っていたけど…………聡にとって私は、呪いのかかったファラオの墓…………。呪いの正体がわかったから……手を出した?
聡にとって…………私って何なんだろう?




