従兄弟
バイト終わりに、ミナさんと木本家へ行った。
「ただいま~!」
「お帰りミナちゃん、アイス冷凍室にあるよ~?」
「帰りに食べて来たからいらな~い!」
私はミナさんの後ろをオドオドと進んだ。木本君にバレたくないなぁ……。また、あの女の子と一緒にいる所見たくないし…………
「あ、ミア、今日はアイスごちそうさま。」
リビングに入ろうとすると、後ろから木本君に声をかけられた。
うわぁ~!!ヤダヤダヤダヤダ~!なんかヤダ~!!
「あれ?ハルは?」
ミナさんが木本君に訊いた。
「2階。僕の部屋にいる。」
え…………?僕の部屋にいる…………?女の子と……二人で…………?何だろう…………なんか、なんか嫌だ。
「じゃ、ゆっくりしてって。」
嫌だ…………!!
「待って!」
「…………え?」
思わず……木本君のTシャツの裾を掴んでいた。
「…………。」
「え?あ、ごめん。」
私は慌ててTシャツの裾を離した。
「な、何でもない。あの、私、その…………」
木本君は、少し笑って言った。
「一緒に行く?2階。」
「え?そ、それは…………」
私が行けば二人きりにはならない……?
「行く!お邪魔します!」
こうして私は木本君の部屋へ行った。
とっても可愛いハルちゃんは…………
「初めまして。従兄弟の藤田泰治です!帆那美と同じ年の14です!」
従兄弟だったんだ~!
「こちらこそ初めまして。山下心愛です。」
「ミアちゃん、アイス屋さんにいた子?」
「そうだよ~!ハルちゃん可愛い~!」
中学生なのに、完全に女の子に見える。めちゃくちゃ女顔~!
良かった……。なんだ、女の子じゃなかったんだ。って、私何ホッとしてるの?!いや、木本君になら女の一人や二人…………。一人や……二人…………。何故か……涙が出た。
「え?ミアちゃんどうしたの?」
「ハル、姉さんにお茶入れてもらってきて。」
木本君がそう言うと、ハル君は部屋を出て行った。
「あの…………ごめん。なんか、よくわからないんだけど……涙出て来ちゃって。あはは、おかしいよね。あはははは!」
すると木本君は、突然、私を抱き締めた。
「え?あの、これ、練習?」
「…………練習?」
「この前の練習の続きなのかな?」
この前の、怖さ克服の練習のハグ…………? 木本君は私を離して言った。
「これ練習だったら、いつ本番になるの?」
「ゴール決めた時?」
「…………ゴぉ~ル!」
そう言うと、木本君はもう一度私に抱きついた。
なんだか、胸が爆発しそうなドキドキがなければ…………木本君とのハグって……好きかも。
ハグって…………クセになりそう。




