表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/116

アイス屋

く~るぅ~!きっと来るぅ~!木本が来る~~!!もしかして、ダサ子がテレビから出て来るより怖いんじゃない?!


とうとう…………今朝連絡があって、木本家がバイト先にやって来た。


しかも、女の子と。


はぁ?…………誰?とは思っていても、聞けなかった。サラサラショートヘアの、めちゃくちゃ可愛い女の子…………。誰なんだろう?


「持ち帰りってできますか?」

「えっと…………店長!お持ち帰りって可能ですか?」

「基本的にはカップしか無いから手持ちで持ち帰るしかないな~」

そっか……じゃあ、みんなの分は持ち帰れないよね……。

「ごめんなさい。手持ちでしか持ち帰る事しかできないみたいです。」

「そっか。じゃあ、姉さん達の分は自分達で来るように言うよ。」

「ごめんね~。」

そう言って、二人のアイスを作ろうとしたら、ふと、空の段ボールが置いてあるのに気がついて、店長に確認した。

「店長、この段ボールゴミですか?」

「うん。捨てようと思ってたやつだよ。知り合い?いいよ。使っても。」


私は二人にアイスを渡して訊いた。

「この後、すぐ帰るの?」

「そのつもりだけど?」

私は3つのカップに、アイスとスプーンをつけて、段ボールに入れて渡した。


「これ、お姉ちゃん達に。保冷剤とかないから急いで持って帰って!持てそう?」

「あ、じゃあお会計…………」

「私から差し入れ!それより早く!溶けたら勿体無い!」

そう言って木本君と女の子を返した。


「今の…………カッコいい子だったね~!もしかして彼氏?」

「彼氏じゃないです。あ、彼氏です。彼氏になりました。」

「付き合いたてか~!今一番楽しい時だね~いいね~青春だね~。」

そんな甘いものじゃないっすよ~!木本君とどこにロマンスがありました?え?どこに?


しかも…………さっきは知らない女の子と…………何だろうこの気持ち…………モヤモヤする。

「ああっ!モヤモヤする!」

「あれ~?今一緒にいた子にヤキモチかな~?隣に可愛い子連れてたね~!」

「店長止めてください!自分の感情が不安定な時に、的確な答えを言われると、そうだ!って勘違いしちゃいますから。」


ヤキモチ?ないない!そもそも嫉妬とか、私にそんな資格ある?お兄ちゃんが欲しいから付き合ってるだけなのに…………牛丼で例えるなら、私は紅生姜。カレーの福神漬け。全然メインじゃない……。


「あ、いらっしゃいませ~!」

そこへミナさんがやって来た。

「あれ?ミナさん!」

「聡、ハルと来なかった?」

ハル?あの女の子、ハルって言うんだ……。


「さっき、みんなの分のアイス持って帰ってもらいましたよ?」

ミナさん、スーツ姿でいつもと雰囲気が違う。

「なかなか手強いなぁ……。」

「え?」

「ミアを見てると、人生甘くないなって思い知るわ。」

「それ、どーゆー意味ですか!」

ミナさんは書類で扇ぎながら、ベンチに座った。


「いや、この暑いのに、大変だね~!」

確かに、屋外だと暑い。でも、お客さんの笑顔を見てるとやりがいを感じる。まあ、それは建前で、店長がご褒美にスペシャルアイスを作ってご馳走してくれる。おかげで、炎天下で働いていても全然痩せない。


「ナミさん何にします?ご馳走しますよ~?」

「いいの?じゃあ、バニラ!」

「かしこまりました!」

アイスを作っていると、店長がやって来て言った。

「あれがお姉さん?あ、彼氏のお姉さん?キレーだねぇ~」

「店長、ミナさん28歳彼氏ナシですよ。」

「アイス僕が渡して来ようか~?」

店長、ミナさんに一目惚れとか?

バニラアイスを手に、店長はミナさんの所へ行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ