好きになったらいけない
苦しい期末テストが終わって、いよいよ夏休みがスタートした!
私はバイトが無い日のほとんどは、木本家に遊びに来ていた。
「ミアちゃん、他に誰かと遊ぶ人いないの?」
「愛理は彼氏とデートです。そのせいで雅兄は暇で、祐兄と遊んでるので、私は誰も遊ぶ人がいなくて、アルバイト始めたんですけど」
「まぁ、私も暇だからいいけど。」
ミナさんは、転職のために夏休み前に仕事を止めて、夏休み中は休職中らしい。リアルに大人の夏休みらしい。
「ナミさんとホナちゃんは?」
「ナミはオフ会、ホナは友達とパジャパーって言ってるけど多分男んとこお泊まり」
「えぇっ!中学生なのに!?」
どうして?どうしてミナさんは平然としてられるの!?
「まぁ、私の予想だけどね~!アルバイトって何のバイト~?」
「期間限定で出店してる、アイスクリーム屋さんです!」
駅前に、夏の1ヶ月間だけ移動販売のお店が出ていた。その店員さんがカッコ良くて、バイトさせて欲しいとお願いしたら、即採用された。
「店長がカッコ良いんですよ~!大人の男って感じで!」
「店長いくつ?」
「30くらいだと思います。」
詳しくはまだ知らないけど、多分30前後のイケメン!あ、イケメンは確実。
「一回り上じゃん!まぁ、50代以上のオヤジじゃなくて良かった。あれ?男怖いんじゃなかったっけ?」
「あ、全然大丈夫です!」
実は…………店長に近づいても怖いとも、ドキドキもしない。ドキドキするのは…………
そこへ木本君が帰って来た。
「ただいま~」
「お帰り~」
「お、お帰り!お邪魔してます。」
最近おかしい。木本君の事を考えると、ハグの事を思い出してドキドキする。
「ちょうど良かった。ミアちゃん送って行ってあげて~」
「だ、大丈夫です。1人で帰れます!」
そう言ったのに…………結局木本君が送ってくれた。この前のハグの一件があって…………気まずい…………。
「別に…………いいのに……。」
「夏休みは危ないから。」
「あの…………」
これは……はっきり言っても大丈夫かな?でも……でも……
「何?」
「ごめん木本君、もう少し離れて歩いて。」
「…………。」
木本君は離れて歩いた。
「ごめんね。木本君が近いと、心臓がバクバクいって、暑いのに、頭が余計熱くなるって言うか……。」
それを聞いた木本君はどんどん近づいて来た。
「え?今の話聞いてた?」
「ドキドキさせてごめんね。」
木本君は、笑顔でそう言った。その笑顔は…………反則だよぉ~!!リアルに惚れてまうやろぉ~?この魔性ぉ~!!
なんか…………こんなに近くて、好きになったらいけないって…………辛い。




