どうゆう意味?
木本君は天然なんだ。きっとそうだ。ナチュラルに女の子をその気にさせちゃう、魔性の魅力があるんだなぁ……。いけないいけない。正気を取り戻そう。私、木本君が近くて、どうかしてた。
「お持ち帰り時間はどのくらいですか?」
「あ、保冷剤はいらないです。すぐ近くなので。」
放課後、ケーキ屋さんに寄って、久しぶりに木本家に行った。
「ホナちゃんこの前はありがとう。手当てしてくれたのに、お礼も言わず帰っちゃってごめんね。」
「いいけど……もう大丈夫なの?」
「もう完全復活だよ~!胃腸炎もすっかり!久しぶりに甘いものも食べられるから、ほら、シュークリーム買って来ました~!」
ここ1週間全然食べられなかった甘いもの。ずっと食べたかったシュークリームを、帰りがけに買って木本家へ来た。
「ありがと~!ミアちゃん!じゃ、お茶いれるね~!」
「ミナさんありがとうございます~。あ、じゃあ手伝います。」
私がお茶のカップを出していると、ホナちゃんが訊いた。
「これ、聞いてもいいのかな?あのさ、顔、誰かに叩かれたんでしょ?誰?女?男?」
「うん…………別れ話の痴情のもつれってやつ?」
「男だったら絶対別れなよ?」
ミナさんは怖いほど真顔で言った。
「どんな理由があっても、女に手あげる男は絶対にダメ!」
まあ、一応謝ってもらったし。
「何はともあれ、彼と別れました。」
「あー…………彼氏と別れた?」
「……はい。」
「よっしゃあ!」
ん?…………よっしゃあ?
「あ、大変だったねぇ…………お姉さんに何があったか全部話してごらん。」
私は、お茶を飲みながら、みんなに事情を話した。
ゆたか君の電話を聞いた事、別れた事……。そして、1週間ぶりに学校へ行った朝、ゆたか君が謝って来た。
「ごめん。謝っても、許してはもらえないかもしれないけど……。」
「私も……ごめんなさい。」
私達はお互いに頭を下げ合った。
「好きになる覚悟もないのに、付き合ったりして……バカにしてるって言われて怒られても仕方ないよね。短い間だったけど、付き合ってくれてありがとう。じゃ、」
私は教室に向かおうとすると、ゆたか君に引き止められた。
「待って!待ってよ!」
「え?」
「図々しいかもしれないけど、嫌いだって言われたとしても、友達でいさせて欲しい。」
友達…………?私が嫌いでも?
「それ、ゆたか君は辛くない?」
「少しも辛くないよ。嫌われた方がよっぽどマシだ。」
…………はぁ?
「一番辛いのは…………興味を持たれない事だよ。こんな方法でしか、君の目に映る事ができなかった……。」
それ…………どうゆう意味?
「僕は、嫌われても、恨まれても、その目に映らない事の方が辛い。」
紅茶をお皿に置くと、水面に映る自分がゆがんでみえた。
「そう、言われたんですけど、それってどうゆう意味なんでしょうか?」
「そう…………。」
「なるほど……結構、敵もなかなか手段を選ばないみたいね……。」
ん?敵?
「それって、本当はミアちゃんの事好きだった。って事じゃない?」
「ホナ!止めなさい!」
「え?どうゆう事?」
ナミさんが、ホナちゃんを止めて、ナミさんが言った。
「ミアちゃんは、いつもお兄さん達が構ってくれたから、誰かの気を引きたいとか、こっちを向いて欲しい!とか無い?のかもね~。」
気を引きたい……?こっちを向いて欲しい…………?
「え?本人に直接そう言ったらダメなの?」
「いや、中には言えない人もいるでしょ。」
言えない人かぁ……。私は素直に言えちゃうからなぁ……。
「だって、隆兄には、側にいて。って直接言えば、いいよ。って言って、側にいてくれるよ?」
「おいおい、当たり前かのようにブラコンぶっ込んで来たね。」
好きな人を傷つけてまで…………こっちを向いて欲しい?ちょっとわかんないなぁ……。




