完全復活
あれから1週間お休みして、心も体も復活した。
「愛理~!会いたかったよ~!」
「ミア、もう大丈夫?」
「うん、もう完全復活!ノート貸してくれてありがとうね!」
私は愛理にノートを返した。
「ああ、それ私のじゃないよ?木本の。」
「え……木本君の?…………愛理これ……返しておいてくれないかな~?」
「直接返してお礼言いなよ。1週間分のノート、ほとんど木本のだから。」
そうだったんだ……じゃあ、ずっと毎日のように見てたノートって、木本君のだったんだ。1週間のうちの、月曜と火曜の2日は……気持ちの整理がつかなくてお休みした。そんな時、愛理が授業のノートを届けてくれた。そのノートには忍者の絵が書かれていて、木本君みたいだね。なんて話をしてたのに…………!
正直…………木本君に、話かけづらい。どんな顔して会えばいいのかわからない……。私は、教室に入る前に姿勢を正して、両足を揃えた。そして、深呼吸をして、自分の席についた。
「おはよう。木本君……。」
「…………。」
え…………無視?
「あの、お休みしてた時のノート……ありがとう……。」
「…………。」
私がせっかく頑張って話かけたのにぃいいいい!
私は椅子の足を蹴ろうとしたら、木本君の足を蹴ってしまった。
「あ、ごめん!ごめんね!」
「山下さん、さすがに足を蹴るのは止めてくれるかな?」
…………?何だかよそよそしい?何か違和感が……。
「おい、どうした?木本?」
「…………。」
「き~も~と~!」
私が大声で木本君を呼んでいると、田中君に言われた。
「山下、この距離で大声で呼ぶのは止めてやれよ。ヤンキーか?」
「だって、無視するから!」
「お前、病み上がりなのに元気だなぁ~本当に胃腸炎だったのかよ?」
何だと!?
「失礼な!胃腸炎、超大変だったんだよ?3日間嘔吐して、結局点滴打って、毎食お粥で3キロ痩せたんだよ?」
「うわ……それ壮絶だな。」
「奇跡の生還だよ!歓迎して!」
「…………。」
木本君はまだ無視のままだった。気がつけば、木本君はまた、気配を消すようになった。
「木本と何かあった?」
「え…………?」
「周りが気づいてないと思うか?木本が突然、山下の下の名前で呼びだして、髪切ったり……その後、今度はまた暗くなったり……何かあったとしか思えないだろ?」
それもそうだ……。そっか……そういえば、ミアって呼ばれてたのに、山下さんに戻ったんだ……。だから変な感じがしたんだ。
確かに、木本君と何かはあった。あの態度はまずかった。後でちゃんと謝ろう。
次の5分休みに、机に伏せていた木本君に話かけた。
「あの……木本君、この前はごめんね。」
「何が?」
変わらず、反応が塩……。
「あの、その……この前……」
「この前?」
冷静に、あの状況を思い返して…………顔が熱くなった。あれぇ?まだ熱があるのかな?
「この前……こ、この前は……あの、その……」
「顔、赤くなってる。」
「嘘!いや、今思い出したら何か……変な汗かいて来た。」
私は慌てて顔を手で隠した。
木本君は隠したその手をどかそうとする。
「止めてよ!」
「見せてよ。」
そう言って木本君は、意地悪な顔をして笑う。
「もう!マジで止めろ!」
そう言って怒ると、木本君は笑っていた。
「耳まで赤い!あははははは!」
笑ってる……。何故?
どうして突然木本君の機嫌が治ったのか…………全然わからないんですけど!!




