興味
私は放課後、愛理の委員会の終わりを中庭のベンチで待っていた。
木本君と話しただけで、先輩に呼ばれる。だけど、ゆたか君と付き合っても、誰にも何も言われない。同じ王子なのに…………。それは、きっと、私が見せかけだけのお姫様だって、みんな知っているから。逆にゆたか君には感心する。カムフラージュって言っておけば、私に危害が及ぶ事もないし、自分は他に何人も手を出せる。最っ低…………。
私が鈍感だからいけないのかな?
「珍しいね。こんな所でどうしたの?」
ベンチに寝転んで、ぼーっと空を見ていたら、ゆたか君が来た。
「愛理の事待ってる。」
「相変わらず仲いいね。おかげで僕の入る隙なんかないよ。」
「隙なんか全然あるよ?その隙を相手する暇が、ゆたか君にないんじゃない?」
なんか、ムカついて来た。
「何?怒ってる?」
何でそんなに嬉しそうなの?
「僕が他の子と遊んでるから、ヤキモチ焼いてるの?」
ヤキモチ…………?これ、ヤキモチなの?私は起き上がって、ゆたか君に言ってみた。
「ゆたか君は…………ヤキモチ焼かないの?私、今日、髪切った木本君に話しかけただけで、女子トイレに呼ばれたんだよ?」
「は?」
「別に注意されただけで、何もされてはないんだけどね?なんか…………怖かったなって。」
ゆたか君は急に私を抱き締めた。
「大丈夫。……今度は、僕が守るよ。」
ゆたか君の胸は……早いリズムの音がしていた。何だか落ち着く。人の心音って…………落ち着く。
「…………ありがとう。ねぇ、もっとちゃんと話をしよう?私達、ちゃんと彼氏彼女になろうよ!」
「ミアちゃん…………。やっと、やっとこっちを向いてくれたね。」
え…………?
「今まで、全然僕に興味無かったよね?」
「え…………あ……うん……。」
まあ、そうだね…………お弁当捨てたり、他の女と遊んでたり、興味が湧く所、1つもなかったからね。
ただひとつ、ムカつくという感情を除いて……ゆたか君に興味は無かった。正直…………今もそんなに興味はない。




