表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/116

デパートへ

昼休みに、愛理がふと中学の時の事を思い出して言った。


「そういえばさ、中学の時に誉めまくり八方美人作戦、あれ、どうなったの?誰か引っかかんなかった?」

「愛理……引っかかるって……私をまるで毒蜘蛛のような言い草。」

「蜘蛛の方がマシ!もっとマシにハンティングしなよ!」

ハンティングって…………狩りじゃん!狩りが苦手で、狩りをしない民族もいるのだよ!!


「あの作戦……あれね、ただのいい人になっただけだった。」

中学の時に、雑誌の『モテる女子は誉め上手!』というありきたりな記事を呼んで、手当たり次第に誉めまくった。そして、結果的に反感を買った。結局、うわべだけのいい人は、本当のいい人じゃない。


「ここに山下心愛さんがいるって聞いたんだけど…………」

「あ、私ですけど?」

見知らぬ男子に廊下に呼ばれた。…………誰?


「ミアちゃん、久しぶり。あの、約束通り、僕と付き合ってもらえますか?」

「…………は?」

約束?そんなのした?ってか誰?

「ほら、僕、中学の時太ってて……吉村豊です。」

「ゆたか君?」

「中学の時、痩せたら付き合ってくれるって約束したよね?」

「え…………」

お、覚えてねぇ~!


私は急いで愛理に報告しに行った!すると、愛理はゆたか君の事を思い出した。

「あー!ゆるたかね!」

「ゆるたか……!」

そういえば、ゆたか君、中学の時はゆるキャラみたいなフォルムで、よくゆるたかって呼ばれてたっけ……。


「そういえば、ミア、中学の時ゆるたかの事よく誉めてたよね?それでか!良かったじゃん!八方美人作戦に引っかかってた奴がいて!」

「良かったの?」

何だか私は納得いかない……。

「ミア、告白されたんだよ?」

何だか愛理の方が楽しそう。

「これでやっとミアの彼氏いない歴に終止符が打たれる!」

「それ聞くと良かった気がして来たよ。でも、ゆたか君の事別に好きじゃないよ?」


「好きじゃなくても、付き合えば好きになることもあるの。」

「そうゆうもの?」

「そうゆうもの!いい?ミアは何か特別な品が欲しいと思ってるけど、お店にすら行ってない状態。ゆるたかと付き合うのは、デパートに入ってみるようなもの。」

…………デパート?


「どんな物が売ってるのか、その中の何が欲しくて、何がいらないのか、今は全然わからない状態。まずはお店を見てみないと、特別な品はみつからないよ?」

「うーん。その例え、解りやすいような解りづらいような……。」

とにかく経験を積めって事なのかな?

「いざ!ゆるたかデパートへ!」

「いや、とりあえず、ゆたか君の事ゆるたかやめよう?もう太ってないし。」

「お、もう彼女ヅラ~?その調子だよ、ミア!恋人は一日にしてならず。」


愛理…………何なの?その一見、名言のように思える薄っぺらい応援……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ