交換
「あれ?聡が女の子になってる?」
「いやいや、お母さん、それミアちゃん!電話で説明したでしょ?」
あ、木本君のお母さん……美魔女!
「木本君のお母さん、おはようございます。初めまして。山下心愛です。昨日からお邪魔してます!この度は、お泊まり許可していただいてありがとうございます。」
私は昨日、木本君の家に泊まった。いや、変な意味じゃなくて。今頃木本君はどうしてるだろうか…………何故こんな事になっているのかと言うと…………
階段下の廊下で、木本君に抱きついていると、それを見ていた隆兄が木本君から私を引き剥がした。
「帰るぞ。ミア。」
「えー!もっといたいよ~!」
「迷惑だろ?ワガママ言うな!」
迷惑なのはわかってるけど……せっかく木本家のみんなと仲良くなれたのに…………そんなに怒る事ないじゃん隆兄……。
「まぁまぁ、うちは全然構わないよ?ミアちゃん、またいつでも遊びに来てね!いつでも彼氏の事で相談に乗るからさ!」
「彼氏……?今、ミアに彼氏って言ったのか?」
ミナさん…………それ、兄達にはオフレコで…………って言うの忘れてた!
「あれ?妹から聞いてない?」
隆兄の顔がどんどん鬼の形相になって行くのがわかった。
ひぃいいいいい!!一番バレちゃいけない人にバレた!!逃げなきゃ…………逃げなきゃ…………ヤバイ!
私は思わず階段をかけ登り、木本君の部屋に立てこもった。すぐに隆兄が追いかけて来て、ドアを開けようとした。
「彼氏ってどうゆう事だ!ミア!」
「知らない!隆兄には教えない!隆兄だけじゃない!祐兄にも!雅兄にだって、絶対教えない!!」
「え……そこ、僕の部屋……。」
背中でドアを押さえていると、鍵がついている事に気がついて、慌てて鍵をかけた。
「いいからここを開けろ!今すぐ出て来い!とにかく帰るぞ!」
「嫌!絶っ対嫌!私帰らない!」
「何言ってるんだ?ミア!木本に迷惑だろう?ふざけるのもいい加減にしろ!!」
隆兄の怒鳴り声が木本家に響いた。
「だって絶対隆兄怒るもん!」
「怒るような事してるからだろ!?早く出て来い!!」
「やだよ…………やだぁ~!!うわぁ~ん!!」
もうやだ……帰りたくない!!
「ミア…………?泣くほど嫌か……?」
隆兄が……急に小さな声で言った。
あんな彼氏の事で…………隆兄を怒らせたり、悲しませたくない。あんなに欲しかった彼氏なのに…………隆兄に胸を張って紹介できない……。
「まぁまぁ、山下君、今日の所はミアちゃんはうちで預かるよ。」
「…………木本……でも…………」
「ミアちゃんも落ち着いたら出て来ると思うし。山下君がここにいたらミアちゃんも出づらいでしょ。そうだ!弟と妹交換させよっか?」
え…………?は?交換?
「はぁ?ミナちゃん何言ってんの?」
「いや、弟はうちに二人もいて間に合ってるんだが……。」
「うちにも妹は二人いて間に合ってるけど?社会見学的な?異文化交流的な?交換留学的な?」
木本君がうちに…………交換留学!?
「まぁ、聡は人質みたいなもんよ!ま、大事な弟を可愛がってやって!」
と、言う訳で、何故か木本君は……隆兄と山下家に帰る事になった。そこはお互いちゃんとしていて、それぞれの親にちゃんと了承を得て、妹と弟を交換した。
交換て!




